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宇宙の生地(きじ)?を探る

リニアコライダーでは我々の住んでいる「宇宙」の「生地(きじ)」を研究します。

「宇宙の生地(きじ)」、聞いたことのない言葉ですね?
洋服の生地は良く使われますが・・
はて、「宇宙の生地」とは何でしょう。
基本構造を織り成し、日常それの存在を意識しない。
時にはゆがんだり波打ったり自在に変形し、それがあることを忘れてしまう洋服の生地にも例えられる宇宙を構成する根元の実体を「宇宙の生地」と言ってみたのです。多くの科学者が現在想像している「宇宙の生地」はある種の性質を備えた真空と言えるかもしれません。

真空は全くのカラッポではなく不思議な性質(ヒッグス機構)があり、それが物質を構成する素粒子に質量(「重さ」と考えて下さい)を与え、万物が質量をもつ宇宙を生み出すと考えているのです。宇宙の全てに関わる理論ですから壮大な仮説ですね。

そんな考えを実験で確かめるのがリニアコライダーでの研究の大きな目的です。またリニアコライダーでは、これまで別々のものと考えられていた「物質」と「その間に働く力」が実は同じものとして理解できるのかどうかというとても難解な問題(超対称性理論)にも取り組みます。



KEKが目指す加速器科学国際センター

リニアコライダーの建設でKEK、日本の科学者は何を目指しているのでしょうか。日本の研究者は世界の多くの研究者と協力し、日本にこのリニアコライダーを作り、世界中の研究者と共にそれを使って「宇宙の生地と質量の関係」や「物質とその間に働く力の関係」の研究をしようとしているのです。

研究が実を結べばきっと、ニュートンが万有引力や力学を発見したり、アインシュタインが相対性理論を発見したり、20世紀の始めに量子力学が花開いたときと同じように、単に物理学上の大きな進歩にとどまらず、人間の世界観を一変させるような歴史に残る発見の時代が始まると思います。

日本の研究者達は、世界の研究者達にとって、日本がそんな発見のセンターになることを夢見て研究を続けています。

そんなすごい加速器を作るのにはどのような技術開発が必要なのか、「宇宙の生地」についてもっと知りたい、30km もの長さの加速器を作る場所が日本にあるのか、まだ知りたいことがいろいろとあると思います。
KEKの話題でいつか続きをご覧ください。
 
 

→関連記事:最極微の世界に迫るLHC計画(1)〜世界が注目するCERN〜
 

リニアコライダー計画に燃えた北京会議(1)


質疑応答する出席者
拡大写真(21KB)

発表の様子
拡大写真(20KB)

休憩時間にも議論は続きます
拡大写真(29KB)

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