素粒子原子核研究所
教授 阿部和雄
ビデオインタビュー
みなさん こんにちは、高エネルギー加速器研究機構 BELLE実験グループの阿部です。この実験では、物質と反物質の非対称性の原因の究明のために、測定器や加速器の建設を、ここ5年間ずっと続けてきました。それが、ここ数ヶ月大詰にきて、最終的な調整をやってきました。
今回、この5月31日から6月2日にかけて、非常に予備的に電子と陽電子の衝突をさせて、 そこから出るB中間子とその反粒子のペア、これを測定器で測定してみようという試みがなされました。この試みは比較的うまくいって、われわれが求めていた電子と陽電子が衝突して「消滅」し、 それからB中間子とその反粒子がペアで出てくるというイベントが数個見つかりました。これがその例です。これは測定器の内部の一部にここの真中、 電子と陽電子がぶつかったところから衝突を起こし、それからB中間子とその反粒子の崩壊を起こして、それから出てくるいろいろな粒子を測定したものです。これを見ますとわれわれの測定器は、 デザインバリュー(設計能力)に近いように大体働いているということが確認されました。それからデータを取るコントロール系やコンピュータのシステム、データ収集系等、大体予想したように うまく作動したということが分かりました。
今まだ、加速器の性能は、デザインバリュー(設計能力)の約まだ5000分の1、データの出る量も非常に少ない状態ですが、これから少しずつ調整していき、できれば夏前にこういうイベントを数十万個収集し、物理の解析を始めたいと思っています
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今回はテスト実験で、これからまだまだ「やりたいこと」がたくさんありますが、またいい結果がどんどん出てきたら、また皆さんにお目にかかりたいと思います。
●Belle Event Gallerey(実験データ)
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