BELLE実験はBファクトリーと呼ばれる加速器を使って、年間1000万個〜1億個の B中間子 を発生させ、 その崩壊を観測する素粒子実験です。
B中間子生成のための加速器(KEKB)は KEK の、
トリスタン加速器 のトンネルをそのまま利用します。このような加速器は、
B中間子を大量生産する施設なのでBファクトリー(Bの工場)と呼ばれ、
トリスタンのおよそ100倍の電流を保持し、高い精度で衝突させる必要があります。
崩壊の観測のために用いる検出器は BELLE(ベル:bクォークの別名「Beauty = 美」の意のフランス語)と
名付けられました。B中間子の研究のためには崩壊後に出てくる素粒子をあまさず測定し、
その情報を最大限に生かさなければなりません。そのため BELLE検出器は、
以下のような異なった機能を持つ多くの検出器を持ち、トリスタン検出器の能力を
大幅に越える測定精度・粒子識別能力を実現することになります。
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シリコンバーテックス検出器 : 粒子の崩壊位置の精密測定
中央ドリフトチェンバー : 荷電粒子の運動量の精密測定
CsIカロリメータ : 電子・光子のエネルギーの精密測定
飛行時間カウンター : 素粒子の飛行時間の精密測定
エアロジェルカウンター : K・π中間子の識別
鉄ヨークRPC検出器 : μ粒子・KL中間子の検出
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各検出器からの情報を基に高速の事象選択回路よりなるトリガーシステム が2.2マイクロ秒以内に
電子と陽電子の衝突のなかから興味深い反応のみを選びだします。それでもBELLE検出器からのデータは、
200Hz、1秒間に15メガバイトにも達し、大量・高速の能力を持つデータ収集システムが必要となります。
このデータは最高速のCPUボードから構成される並列計算機群で処理される予定です。
いろいろなデータ処理の後、最終的には年間100,000,000メガバイト程度のデータとなり解析のために保存されます。
1994年度より加速器/測定器の建設が開始されており、1998年12月に加速器及び測定器の建設が終了し
実験開始に向け最後の調整を行なってきましたが、この程実験を開始しました。
BELLE 実験は国際共同実験であり、実験の提案/製作/稼働/解析のために、10ヶ国より
約50の研究機関から多数の研究者が参加しています。こうして得る貴重なデータをもとに、
最初に述べたような B中間子のCP非保存の解明を行ないます。
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