ビッグバンで正確に同じ数の粒子と反粒子からはじまったはずの宇宙に物質(粒子)ばかりが見つかり、 反物質(反粒子)はほとんど観測されていない。 「なぜ均整が破れているのだろうか。」 という問題があります。この問題を解くための鍵のひとつが「CP非保存」です。 CP非保存とは、粒子の世界を支配する物理法則と反粒子のそれとの間に、わずかではあるが違いがあることです。 このような現象が素粒子の世界では起こりうるという事が、1960年代に中性K中間子の崩壊(図1)で発見されました。
「なぜ均整が破れているのだろうか。」 という問題があります。この問題を解くための鍵のひとつが「CP非保存」です。
CP非保存とは、粒子の世界を支配する物理法則と反粒子のそれとの間に、わずかではあるが違いがあることです。 このような現象が素粒子の世界では起こりうるという事が、1960年代に中性K中間子の崩壊(図1)で発見されました。
1970年代になって中性K中間子のCP非保存を説明するために、小林と益川は当時3種類しか見つかっていなかった クォーク(u、d、s)に、さらに3つ(c、t、b)を付け加え、素粒子の反応にdクォークtクォーク、 またはuクォークとbクォークの反応が関与したときだけ、CP非保存が起こりうるという大胆な理論を打ち立てました。(図2) この理論が、小林・益川理論と呼ばれています。
小林・益川理論では、Ko中間子の中のdクォークがヴァーチャルなtクォークと反応した結果として、 Ko中間子の崩壊とKo-中間子の崩壊の頻度に微妙な違いが出るというわけです。(図3)
もしこの理論が正しければ、CP非保存はB中間子の崩壊ではもっと大きくなるはずです。 なぜならB中間子はbクォークを持っていて、それが直接uクォークと反応できますし、 ヴァーチャルtクォークとの反応も、bクォークとtクォークが同じ世代に属しているだけ K中間子のときと比べてすっと起こりやすいからです。(図4・5・6)