講義概要
13:30~14:30
大強度陽子ビームを作る -J-RARC加速器の挑戦-
小関 忠 (KEK加速器研究施設 教授)
J-PARCは高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構が共同で建設し、2008年から本格的に稼働を開始した陽子加速器施設です。大強度の高エネルギー陽子ビームを炭素や水銀などのターゲットに照射することにより、中性子、ミュオン、K中間子、ニュートリノなどの2次粒子を大量に発生させ、それらをビームとして用いて物質・生命科学、素粒子・原子核物理学などの広い分野にわたる多様な実験を行います。J-PARCの最大の特徴はビーム強度が強いことで、J-PARC加速器にはそれを実現するための様々はアイディアが盛り込まれています。世界最大級の大強度陽子ビームを目指す最先端の加速器群の挑戦をご紹介します。
15:00~16:00
謎の素粒子ニュートリノ日本縦断300km -T2K実験-
小林 隆 (KEK素粒子原子核研究所 教授)
宇宙の究極の構成要素はなにか、物質の起源は何か。言いかえれば、あなたは何からできていてなぜ今ここにいるのか。このある意味哲学的な問いに科学的な答えを見つけることが「素粒子物理学」の目的です。その問いに答えを与える大きな可能性を秘めているのが素粒子ニュートリノです。どんな物質も貫通するため検出が難しくその性質にはまだまだ謎が多いですが、宇宙に物質(あなた)が存在する理由を説明する鍵となる可能性が指摘されています。KEKではそのニュートリノの性質を調べ物質起源の謎に迫るため、茨城県東海村の加速器J-PARCで人工的に生成したニュートリノを300km離れたスーパーカミオカンデで検出する実験T2Kを進めています。講演ではT2K実験の概要と最近の成果について紹介します。