ダークマターを探せ　　13:35～14:35

野尻　美保子 （KEK素粒子原子核研究所　教授）

我々の周囲にある物は原子によってできているということは、よく知られています。しかし、宇宙には原子の１０倍以上の物質が存在することが知られています。この未知の物質はとても透過力が高く、光を出さないためダークマターと呼ばれています。この性質を調べるための研究が、多くの科学者によって行われていますが、地下で行われているダークマター探索実験や、ヨーロッパにある高エネルギー加速器LHCでわかることについて説明します。（講義資料）

宇宙のダークエネルギーとは何か？　　15:00～16:00

郡　和範　（KEK素粒子原子核研究所　助教）

2011年のノーベル物理学賞は「遠方の超新星爆発の観測による宇宙の加速膨張の発見」に対して、アメリカのサウル・パールムッター教授とアダム・リース教授、オーストラリアのブライアン・シュミット教授の3氏に贈られました。その加速膨張のしくみを説明する最も有力な理論が、通常の物質とは違う性質を持つエネルギー「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」が宇宙に満ち満ちているとするものです。決してトンデモ科学の話でもなく、スターウォーズの中の話でもありません。ダークエネルギーは、物体に対して斥力の重力を及ぼし、宇宙膨張を減速させる通常の物質による引力の作用を打ち消してしまう未知のエネルギーです。今回は、そのダークエネルギーとは何かという解説と、ダークエネルギーの謎にせまる世界最先端の研究について紹介します。（講義資料）