KEK

講義概要

 ニュートリノと宇宙の謎  13:35~14:35


北野 龍一郎 (素粒子原子核研究所 教授)

ニュートリノは不可思議な素粒子である。他の素粒子、例えば電子に比べてずっと軽いが、光の粒である光子のように質量がないわけではない。また、その種類は3種類かそれ以上あるといわれているが、それらはぐちゃぐちゃに混ざりあっていて、飛んでいる間にどんどん名前を変えてしまう。これらの性質は20世紀後半から現在にいたる最近の実験の発展によりわかってきたことであるが、理論的になぜそうであるのかは、いまだ謎である。一方、この不可思議な粒子は、宇宙に満ち満ちていて、宇宙を膨張させるのに大きな役割を果たしてきた重要な粒子である。本講義では、この不思議な粒子ニュートリノと宇宙の謎に迫る。



 大強度陽子加速器を用いた実験で発見された新しいニュートリノ振動  15:00~16:00


中平 武(素粒子原子核研究所 准教授)

唐突ですが、「タマネギの皮を全部むいていったら真ん中には何があるのか?」と思ったことはありませんか? 私はあります。素粒子物理学はタマネギに限らずあらゆる物質の芯を追い求め、いくつかの素粒子にたどりつきました。そのうちのニュートリノは、物質とはほとんど反応せずに透過してしまい、検出することが難しい謎の多い素粒子です。それに対して、大強度陽子加速器(J-PARC)を用いてニュートリノを大量に生成し、巨大な検出器(スーパーカミオカンデ)によって観測して、その素性に迫ろうとしているのがT2K実験です。講義では、
(1)ニュートリノ振動とはどのような現象か?
(2)どのような実験方法によりニュートリノ振動が測定できるのか?
(3)2013年にT2K実験で発見された新しいニュートリノ振動とは?
を解説し、T2K実験の最新の成果と今後の展望を紹介します。(講義資料


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