講義概要
反物質で迫る素粒子の世界 13:35~14:35
浅井 祥仁 (東京大学 大学院理学系研究科 教授)
SFの世界で、”陽電子”や”反物質”は、摩訶不思議な技術として登場するが、素粒子研究の上で、反物質は重要な役割を担っています。本講演では、そもそも反物質ってなに?から紐解き、反物質の素粒子研究上の意味について考えます。また、陽電子と電子が対になった世界で一番軽い原子であるポジトロニウムの不思議な世界についてお話しします。
陽電子-身近で役に立つ反粒子 ~がんの診断から物質最表面の原子配置決定まで~ 15:00~16:00
兵頭 俊夫(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所 特定教授 )
陽電子は電子の反粒子で、+の電気をもっている以外は電子にそっくりです。陽電子は、最初に発見された反粒子であると同時に、最も身近で役に立つ反粒子です。陽電子と電子が出会うと対消滅して、真反対方向に2本のγ線が出ます。PETという癌の診断法 はこのγ線を利用します。 また、陽電子には、固体表面にすれすれ斜めに入れようとしても、全反射されて入れられないという性質があります。これを利用すると、固体の最表面に原子がどのように並んでいるかを高感度で調べることができます。この講演では、KEKの低速陽電子実験施設で行われている研究を中心に、役に立つ陽電子についてお話しします。
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