Bファクトリー計画中間評価(外部評価)の実施について


 Bファクトリー計画は、電子・陽電子衝突型加速器を用いて、宇宙創成時に同数あったとされている物質と反物質が、現在の物質のみの世界へと変化した原因を実験により解明することを目指すもので、平成6年度に電子・陽電子衝突型加速器の建設を開始しました。Bファクトリー加速器及びBelle測定器が平成10年度に完成し、平成11年6月の実験開始から3年余の間、国際共同実験を推進してきました。
 この間、平成13年7月にローマで開催された高エネルギー物理学の国際会議において「CP対称性の破れ」※の存在を実証する成果を発表し、世界の注目を集めております。また、平成14年10月には、Bファクトリー加速器が稼動を開始して以来、Belle測定器が蓄積した全積分ルミノシティーは、これまで世界のどの衝突型加速器でも達成されたことのない100/fbに到達しており、引き続き300/fbを目指しております。現在、「CP対称性の破れ」の起こるメカニズムの解明や標準理論を超える物理現象の探索を目指して、実験データの蓄積・解析を進めております。
 これらの状況を踏まえて、Bファクトリー計画の効果的・効率的な推進を図るため、平成15年3月13日、14日に外部の専門家等による中間評価を実施することといたしました。
(評価委員会設置要項等別添)
 なお、評価結果については、報告書がまとまり次第公表する予定です。


※CP対称性(粒子・反粒子対称性)、CP対称性の破れ
 Cとは素粒子をその反粒子に置き換える操作であり、Pとは鏡像変換の操作のことである。ほとんどの場合、粒子を反粒子に置き換えた上、さらに鏡像変換を行うことにより、物理法則は不変である。これをCP対称性あるいは粒子・反粒子対称性という。しかし、K中間子の稀な崩壊でCP対称性がわずかに破れていることが知られている。これをクォークの崩壊で説明するため、小林高エネルギー加速器研究機構教授と益川京都大学教授基礎物理学研究所所長は、まだ3種類のクォークしか知られていない時代に、クォークが6種類存在するべきであることを予言し、その後残りの3種類のクォークが軽いものから順次見つかっている。小林・益川理論によれば、6種類のうち2番目に重いbクォークを含んだB中間子の稀な崩壊では大きなCP対称性の破れが見られるはずであり、Bファクトリー計画の最重要課題となっている。


国際研究協力部研究協力課
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