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last update: 08/08/29  
 機構長コラム
   
鈴木 厚人 機構長
2008.08.29

KEKと社会:二つの組織が設立

昨年秋、KEKの将来計画ロードマップが提案され、今年3月に国際ロードマップ諮問委員会による諮問を受けました。諮問委員会からは、ロードマップにまとめられている高エネルギー物理学、原子核物理学、物質科学および生命科学の幅広い将来プロジェクトを強力に推進すべきであるという提言を得ました。提案されたプロジェクトについて、それぞれのタイムスケジュールを考慮して優先順位をつけることは言うまでもありません。ここで、私達はプロジェクトを推進するに当たり、社会からいろんな形の支援・支持を受けるよう努力することを真剣に考える必要があります。加速器科学におけるプロジェクトが、規模や予算面においてますます大型化していることを思えば当然のことです。この状況を鑑み、この2ヶ月の間にKEKと社会とを結ぶ2つの組織が設立され、活動を開始しました。
 
1つは先端加速器科学技術推進協議会です。KEKといくつかの企業が主導して、産業界とKEKとの間の技術開発における連携をより一層推進するために設立されました。目指すところは、先端加速器技術の開発をとおして科学技術に一大飛躍をもたらすことです。協議会はその中でも、特に国際リニアコライダー(ILC)プロジェクトを先端加速器技術の開発のための中核モデルケースとして位置づけ、産業界とKEKとの間の連携を強化します。私達は産業界とKEKからの高度の専門知識と技術能力を結集した、連携による機械工場をKEK内に設立することを検討しています。協議会の役員は、三菱重工業、日立製作所、東芝、三菱電機の取締役らとKEKの機構長で構成されています。6月11日に開かれた設立総会には、小柴昌俊教授、与謝野馨国務大臣(経済財政政策・規制改革担当)、河村建夫衆議院議員(元文部科学大臣)、文部科学省と経済産業省の関係者らが参加され、挨拶の中で協議会に期待を寄せられました。会長には三菱重工業取締役相談役の西岡喬氏が任命されました。同協議会には、約60の企業や団体と30の大学等研究機関が参加しています。
 
もう一つの組織は、与謝野馨国務大臣によって提唱された連盟です。大臣は基礎科学を推進することの重要性を十分に理解されています。この連盟の目的は、ILCの誘致活動を強化することと、さらに最先端の科学技術研究に従事する人材育成を図ることです。この連盟はまた、素粒子物理学が民族や国籍、イデオロギーの境を超えた研究分野であり、我が国の科学研究戦略の根幹をなすものであることを認識しています。連盟はほぼ全政党から集まった、50人ほどの国会議員で構成されています。これはいわゆる超党派の議員連盟であり、自由民主党議員によるこれまでの議員連盟を拡張したものです。設立総会は7月31日に開催され、与謝野馨氏が代表として選出されました。
 
これら2つの組織とKEKとの間の緊密な連携活動を通じて、KEKはロードマップの実現に向けて邁進します。
 
 
図1:KEKと産業界の協力を促進する先端加速器科学技術推進協議会の設立総会
図2:超党派の国会議員連盟
図3:2006年に前議員連盟のメンバーがKEKを訪問した時の様子
 
   
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