「無駄の排除」は重要な指標ではあるが、これのみを極論すると危険な事態を引き起こす。人件費が安いからといって国外に生産拠点を移せば産業の空洞化となってツケがまわってくる。かつて日本が得意であった基幹技術が、日本からなくなりつつある現実に直面し、「ものづくり大国日本」は過去のものになろうとしている。ここに、「育てる目線」が必要になる。将来への投資の目線である。特に科学・技術振興は、子供の育成と等価である。夢と希望を持って子供を育てるように科学・技術振興を推進しなければならないことは言うに及ばない。100〜1000の研究の中から1つでも大発見が生まれれば、科学・技術の飛躍的発展がもたらされ、さらに国民に大きな誇り、勇気、意欲、夢が与えられる。科学・技術や産業から「Made In Japan」の火を消さないためにも、「育てる目線」をもっと重視すべきである。