TYLスクール理系女子キャンプ2013

加速器体感ツアー

2日目の加速器体感ツアーのコースです。4つのコースのうち1つを選択します。

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LINAC(線形加速器)見学

LINACでは電子と陽電子のビームを作り直線的に加速して(本当のことを言うと途中で1回だけ180度曲がり"J"の形をしています)KEKBやフォトンファクトリーの蓄積型円形加速器に入射します。

見学のテーマ その1:電子ビームを観測してみよう

LINACで加速している電子ビームを蛍光板に当てることで、その断面形状をカメラで観測することができます。またビームの通り道の各所に設置されたビーム位置モニターの電気信号を解析することでビームの軌道の様子をリアルタイムで見ることができます。また、プラスティックシンチレータの中をビームが発光しながら通過する 様子を観測することができます。

見学のテーマ その2:電子ビームを動かしてみよう

収束電磁石を使ってビームに力を働かせることで、ビームの形状を変えることができます。また、双極電磁石を使うとビームの軌道を変えることができます。見学の皆さんに実際に電磁石の電流値を変えてビームを動かしていただきます。

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PF(フォトンファクトリー)見学

「光の工場」という意味のフォトンファクトリーは、さまざまな物質や生命の姿を、原子・分子のレベルで見るための光「放射光」を作り出す加速器です。

フォトンファクトリーで主に使われているのは、人間の目で捉えられる光「可視光線」より波長が短い(エネルギーが高い)真空紫外線、軟X線、X線と呼ばれる波長(エネルギー)域の光です。原子の大きさ程度の波長を持つ光、物質の内部の電子を外に飛び出させるのに十分なエネルギーを持つ光を使うことによって、分子や原子といった極微の世界を初めて観ることができます。

フォトンファクトリーではいろいろな分野の研究が行われていて、それぞれ特色のある装置が使われています。今回のツアーでは代表的な装置をいくつか見てみましょう。また、講師の保倉先生が実際に研究で使っている単細胞藻類を使って、この藻類が金属を蓄積するしくみを解明する研究を少しだけ体験してみましょう。

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SuperKEKB主リングトンネル内見学

地下11mにある周長3kmのトンネル内では今、2014年の実験開始にむけてSuperKEKBの建設が進行中です。SuperKEKBはKEKBのアップグレード版で電子と陽電子を衝突させ自然には安定に存在しないB中間子・反B中間子の対を生成するための衝突型加速器です。今回のツアーでは、このトンネル内を衝突点から約1/4周、歩いていただきます。めったに見られない、建設中の大型加速器を体感する絶好のチャンスです。お見逃しなく!

トンネル見学の終着点は大穂実験棟です。ここではSuperKEKB用ビームパイプのベーキング及びコーティング装置について紹介します。

〈大穂実験棟ベーキング及びコーティング装置〉

superkekb

SuperKEKBでは、周長約3kmの陽電子リングのほぼ全てと電子リングの一部のビームパイプが新しいものに交換されます。ビームパイプ(アルミニウム製や銅製)には、中を通る電子や陽電子のビームが気体分子と衝突して失われるのを防ぐために、内部を超高真空(大気圧の約10兆分の1)にすることが求められます。しかし、新品のビームパイプをこのような超高真空にするのはそう簡単ではありません。それは、大気にさらされた金属表面には多くの気体分子(主に水)が吸着しており、その気体分子を排気するのに非常に長い時間を要するためです。

更に陽電子リングのビームパイプでは、内表面から放出される電子の量をなるべく少なくすることが求められます。それは、陽電子用のビームパイプ内部に多くの電子があると、陽電子ビームが乱されてしまい、加速器の性能が落ちてしまうためです。アルミや銅製のビームパイプの表面からは電子が出やすいため、やはり新品のビームパイプをそのまま使用することはできません。

大穂実験棟では、新しいビームパイプを加速器で使えるようにするための下準備作業(ベーキングとコーティング)が行われています。どのようにしてビームパイプを超高真空にするのか?また、ビームパイプ表面からの電子の放出を抑えるのか?について、ベーキング及びコーティング装置を紹介しながら解説いたします。

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筑波実験室(Belle検出器)見学

スパークチェンバーを用いて、私たちに常に降り注ぐ宇宙線の様子を観察します。

宇宙線は銀河系のはるか外を旅してきた陽子が地球の大気にぶつかり、地上に届いているものです。スパークチェンバーは、宇宙線がガス中を通り抜けた時に発生するイオンを用いて、宇宙線の軌跡を目で見えるようにしたものです。

宇宙の研究と素粒子の研究がどのようにかかわっているかを説明します。

文明ができた時から人類は「この空の向こうにはなにがあるか」「世界はどう始まったのか」「ものの根源はなにか」などの疑問をもってきました。20世紀になって「宇宙の研究」と「素粒子の研究」は根源は同じだということがわかってきました。その説明とともに素粒子実験の手法を紹介します。

加速器や測定器を構成する本物の部品を見ながら、KEKB加速器とBelle 測定器の働きを学びます。

素粒子という極微の世界の研究のために使われる部品とその働きを調べます。

最後に実験室に入りBELLE測定装置を見てKEKB実験全体の様子を体感します。

spark belle
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