Seminar

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量子系の時間発展と弱値 (in Japanese)

  • PLACE 研究本館1F 会議室3 Kenkyu Honkan 1F Room 3

量子系では,「観測」がその後の量子状態の時間発展に大きな影響を及ぼす.例えば,ある時刻に,光子の位置の射影測定を行った場合,その後の光子の位置の時間発展は,測定を行わなかった場合と大きく異なってしまう.同様に,光子の位置の射影測定を行った後,運動量の射影測定を行ったとしても,位置測定以前の運動量の正確な情報を得ることはできない.従って,射影測定を用いて,光子が辿る軌跡を問うこと無意味である.一方,射影測定ではなく,「弱測定」と呼ばれる測定手法,および弱測定結果から得られる「弱値」を用いると,この問いに答えることができる.例えば,トロント大学の研究グループは,2重スリットの実験において,弱測定を用いることで,光子の軌跡を記録することに成功している.また,位置と運動量のような,非可換な観測量の同時測定が,連続的な弱測定によって実現されている.これにより,パラドキシカルな弱値の間の関係性といった従来アクセスできなかった情報を得ることが可能になっている.本講演では,時間発展する量子系の弱値について,光子を用いた実験を軸に概観するとともに,最近の我々の研究結果について紹介する.


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