S.I.Center

KEK

初代室長あいさつ

2023年4月1日に新領域開拓室(Scientific Innovation Center)を発足させました。

現在、物構研では、放射光、中性子、ミュオン、低速陽電子という4つの量子ビーム施設(電子ビーム加速によるクライオ電子顕微鏡を含めて5つの設備)において世界的にもユニークなマルチプローブ共同利用・共同研究を展開しています。また、量子ビーム連携研究センター(CIQuS)では物質科学・材料科学を中心に、構造生物学研究センター(SBRC)では生命科学を中心に、物構研内での相補的・協奏的連携を拡大・強化しています。新領域開拓室はこれら2センターに並ぶ組織ですが、2センターとちがって、物構研の枠を越えた活動を主目的としています。

最近、⼤学の枠を越えた組織的連携・融合による組織改⾰を通じて、研究分野の更なる展開を先導するとともに、良質な研究資源を形成・提供し、我が国の研究⼒の底上げに貢献することが、大学共同利用機関等に要請されるようになっています。このような要請に応えるために、物構研では新領域開拓室を設置し、国内外の物質科学・材料科学・生命科学などの分野に横串を刺し、それぞれの強みを活かして新領域を開拓することをミッションとしました。

これまで物構研が中心に運営してきた国内主要放射光施設のプラットフォームに中性子やミュオンのビーム施設を加え、日本全体を俯瞰した情報共有を進めつつ、新領域開拓室で開発を進めた共通技術の技術移転と施設系人材の育成・輩出を行うことで、実験手法の高度化、技術力の向上、異種量子ビームを併用した新領域開拓が可能となります。従来の異種ビーム別育成ではなくビームに拠らない統合型の量子ビーム科学を推進するための共通技術の開発を通じて次世代の施設系人材を育成します。各部門で開発する技術は量子ビームによる分析の高度化、効率化に必須となるものであり、全ての量子ビームに共通する技術であることから、横断的に研究開発を進める必要があります。

今後、人を中心とした量子ビーム施設の国内ネットワーク形成に貢献していきたいと思いますので、ご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

2023年4月1日

新領域開拓室 初代室長 小杉 信博