KEKのBファクトリー実験の加速器であるKEKB加速器は、8GeVの電子と3.5GeVの陽電子ビームを高頻度で衝突させ、B中間子とその反粒子である反B中間子を大量に対生成させる装置です。衝突点に設置されたBelle測定器では、瞬時に起こるB中間子の崩壊過程が精密に記録され、CP対称性の破れの起源解明を目的とした実験が1999年より進んでいます。日米の両実験の熾烈な競争の中で、KEKB加速器はSLACのPEP II 加速器を上回る世界最高のビーム輝度を達成しています。そしてBelle実験は、B中間子の崩壊における大きなCP対称性の破れを観測することに成功し、小林・益川理論の正しさを実験的に証明しました。同様の結果はSLAC研究所のBaBar実験でも得られており、両Bファクトリー実験の貢献は、今回の受賞に対するスウェーデン王立科学アカデミーのプレスリリース文にも明記されています。