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last update:08/12/08  


小林・益川理論 Bファクトリー実験が果たした役割


KEKのBファクトリー実験は、ノーベル物理学賞の受賞対象となった小林・益川理論の検証に重要な貢献を果たしました。

小林・益川理論は、1964年にK中間子の崩壊で発見された「CP対称性の破れ」と呼ばれる粒子と反粒子に働く物理法則の違いを説明するために導入された理論ですが、30年以上ものあいだ、その証明はなされていませんでした。それはCP対称性が破れる現象が、K中間子の崩壊でしか見つからず、また観測される破れが小さくて定量的に議論できなかったためです。その後、三田一郎(元名古屋大学教授、現在神奈川大学教授)氏らが、小林・益川理論に基づいて、B中間子の崩壊でCP対称性が大きく破れることを予言し、それを実験的に証明するため日本のKEKとアメリカのSLAC研究所におけるBファクトリー実験が開始されました。

KEKのBファクトリー実験の加速器であるKEKB加速器は、8GeVの電子と3.5GeVの陽電子ビームを高頻度で衝突させ、B中間子とその反粒子である反B中間子を大量に対生成させる装置です。衝突点に設置されたBelle測定器では、瞬時に起こるB中間子の崩壊過程が精密に記録され、CP対称性の破れの起源解明を目的とした実験が1999年より進んでいます。日米の両実験の熾烈な競争の中で、KEKB加速器はSLACのPEP II 加速器を上回る世界最高のビーム輝度を達成しています。そしてBelle実験は、B中間子の崩壊における大きなCP対称性の破れを観測することに成功し、小林・益川理論の正しさを実験的に証明しました。同様の結果はSLAC研究所のBaBar実験でも得られており、両Bファクトリー実験の貢献は、今回の受賞に対するスウェーデン王立科学アカデミーのプレスリリース文にも明記されています。

KEKのBファクトリー実験は、さらなるビーム輝度の増強とデータの高精度化を図り、次なる目標として小林・益川理論では説明できない新しい現象の探索を進めています。


Belle測定器 KEKB加速器

Belle測定器ペーパークラフト 小林・益川理論の検証に重要な貢献を果たしたKEKのBファクトリー実験のBelle(ベル)測定器の70分の1模型をペーパークラフトで作ってみましょう。

下のPDFファイルをダウンロードしてA4用紙に印刷してください。


工作用PDF(1.2MB)

関連ページ : 素粒子、原子核の研究:Belle測定器
加速器の開発研究:KEKB加速器
KEKB加速器について
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KEK webニュース 「世界を変えた一つの論文 〜 小林・益川理論 〜」
受賞の対象となった1973年発表の論文 (英文)


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