高エネルギー加速器研究機構 先端加速器推進部
Department of Advanced Accelerator Technologies
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ballリニアコライダー計画推進室(2014年6月) これまで
 
ballリニアコライダー計画推進室(2014年5月) これまで

1STF/CFF
・ CM2Aクライオモジュールの組立作業を行っている.5月末に完成の予定.夏前にコールドボックスに接続,今秋冷却試験を開始し,来年カプラーのコンディショニング,立体回路の組立て,空洞の大電力投入試験を行ったあと,来年秋からビーム加速を行う予定である.
・ 9連超伝導空洞の内作1号機(KEK-01)の第1回目縦測定を行った.Q値は7x109(@35MV/m)でありILCスペックにわずかに及ばなかったが,最大加速電界強度は36MV/mとILCの仕様を満足した(図1).内面検査等の後,6月中旬に2回目の測定を行う予定

1 ATF
・ スクリュー冷凍機(ATF2電磁石電源,LUCX冷却水用)で冷媒漏れが発生.配管に小さな孔があいたため.ロー付けで補修し,運転を再開した.

1 会議等
・ 5月12-16日,Americans Workshop on Linear Colliders 2014がFNALで開催された.
URL:http://www.linearcollider.org/awcl14/
・ 5月27日,第7回ILCを学び考える会(道園真一郎,「高周波源について考える」)を開催予定.


図1 超伝導空洞内作1号機(KEK-01)の縦測定結果.白十字がILCの要求仕様

ballリニアコライダー計画推進室(2014年4月) 

1STF/CFF
・ 磁気シールドの性能向上とコスト低減を目的として縦測定によるスタディを行なった.
・ 9連超伝導空洞の内作1号機 (KEK-01) は,内面検査,表面処理(EP)1,アニール,内面検査を行なった.今後,プリチューニング,EP2,ベーキングを行なった後,4月の最終週に1回目の縦測定を実施する予定.

1 ATF
・ Wake field対策のため,ATF2ビームラインの内部段差の解消・テーパー化,排気ポートのシールド化を実施した.また,FONTによるIP-BPMのスタディなどを行なった.

1 会議等
・ 3月18日,LC計画推進室のメンバーが東北サイトを訪問し,自治体と情報交換を行なった.トンネルの位置精度を±1kmの精度で公表することで合意した(図1).また,4月7日,IR(衝突点)地点を訪問し,現地状況の確認等を行なった.
・ 3月13日,国際リニアコライダ施設の土木工事のガイドラインに関するコロキュームが開催され,受託者の土木学会から委託者のKEK機構長へガイドラインが提出された.
・ 3月24-27日,DESYにおいて TTC meeting が開催され,ILCを含む様々な用途,種類の超伝導加速空洞および周辺装置の技術開発に関する報告,議論が行なわれた.KEKからは9名が参加した.
URL : https://indico.desy.de/conferenceDisplay.py?confId=9637
・ 4月8-10日,CFS (Conventional Facility & Siting) - ADI (Accelerator Design & Integration) Joint meetingが東京大学で開催され,ビームエネルギーの段階的増強シナリオを含む加速器の基本設計に基づく,日本のサイト候補地を念頭においたトンネル・検出器ホール・インフラ等の設計,検討および意見交換が行なわれた.
URL : https://agenda.linearcollider.org/conferenceDisplay.py?confId=6342
・ 4月15日,第6回ILCを学び考える会(吉田光宏,ILCの粒子源を考える)を開催予定.
・ 4月17日,第25回LC計画推進委員会を開催予定.
・ 5月12-16日,Americas Workshop on Linear Colliders 2014がFNALで開催予定
URL : http://www.linearcollider.org/awlc14/

ball リニアコライダー計画推進室(2014年3月) これまで

1STF/CFF 
・  Phase 2の準備作業 CM1の空洞への入力カプラー取り付け,CM2の仮組立を行なった.また,マルクス電源の故障 の原因調査を行なっている.
・ CFF(空洞製造施設)で製造を進めてきた9連超伝導空洞の内作1号機 (KEK-01) が完成した (図1).真空リークは無し,9セルの平均縮み量は0.9mm.今後,内面検査,プリチューニング, 表面処理を行なった後,5月連休前に1回目の縦測定を実施する予定.
・ CFFで製作したLarge Grain単セル空洞の縦測定を行なった.加速電界強度は45 MV/mに達 した.preliminaryなデータではあるが,温度ゼロKに外挿した残留抵抗値は数nΩであり(通常 十数Ω),Q値も10MV/m付近で2X1010,40MV/mでも1X1010という非常に高い値が得られた.

1 ATF
・ IP-BSM(新竹モニター)の調整を進めているが,Compton信号が大きくドリフトしている.変動の 原因と思われるレーザーの調整中.

1 会議等
・ 2月13-15日,ATF II Project Meeting&ATF Technical Board Meetingを開催し,今後のビーム 試験における具体的内容と方針について確認した

 



ballERL計画推進室(2014年5月) これまで

1cERLは、連休明けの5月7日からヘリウム冷凍機の運転を開始し、超伝導空洞の冷却を開始した。また、電子銃の高電圧(390kV)印加試験も終了し、電子銃もスタンバイ状態となっている。今後、超伝導空洞のエージングを行った後、5月22日から6月末までcERLの運転を再開する。
今回の運転は夏から秋のシャットダウン時にかけてハードウエアーを導入する予定のレーザーコンプトン散乱(LCS)のシステムに向けて、加速器の調整を進めておく唯一の機会となる。従って、加速器のオプティクスの調整・測定、電流増強、LCS運転のための準備等々の項目を一つ一つ確実に調整を進めておく必要がある。そのコミッショニングの内容検討は前回の周回部立ち上げと同じく、島田美帆氏が中心となって関係者で検討を進めている。

1上記のレーザーコンプトン散乱実験をcERLで進めていくに当たり、次の放射線変更申請で、「コンパクトERLの出力増強」と「ビーム利用を追加した使用の目的の変更」の両者を書き入れていくことで放射線科学センターの関係者と打ち合わせを進めている。現状では、5月の審議会に提案し、1月から予定しているcERLの運転では、上記の変更申請内容の加速器立ち上げ運転が開始できることを想定している。

1その他、cERLの加速器技術としての興味から、日米事業や、IHEPのコラボレーションミーティングといった海外の研究者の見学が続いている。

  ERL計画推進に関心のある方はホームページhttp://pfwww.kek.jp/ERLoffice/ のERL検討会・関係資料をご覧ください。

ballERL計画推進室(2014年4月) これまで

1 cERL は、原子力規制庁の指定登録機関である原子力安全技術センターの施設検査を3 月7 日に受 け、3 月12 日付で合格しました。http://imss.kek.jp/news/2014/topics/0312cERL/index.html 2014 年度は、放射線申請の最大定格である35MeV・10μ Aに近づける運転調 整を進めるとともに、次の放射線変更申請で電流の増強とJAEA との共同で開発しているレーザーコン プトンX 線源ビームラインを盛り込む予定。

1 cERL のコミッショニングが順調に進行したことを受け、3 月20 日にERL 計画推進委員会を行った。 アジェンダは以下の通り

13:30-13:50 cERL のコミッショニング現状報告 島田 美帆
13:50-14:05 電子銃開発・運転状況 羽島 良一
14:05-14:20 超伝導空洞モジュールの運転と開発状況 阪井 寛志
14:20-14:35 デジタルLLRF 系を用いた高周波の安定化 三浦 孝子
14:35-14:50 LCS ビームラインの展望 羽島 良一
14:50-15:10 今後の推進に向けて 河田 洋
15:10-15:30 総合討論

コミッショニングを現場で行った 若手の加速器研究者を中心に 開発現状の報告を行った。

1 4 月14−16 日の間、SLAC のLCLS-II の建設部隊のメンバー(Marc Ross氏、John Schmerge氏、Tor Raubenheimer氏)の3 名がcERL の加速器要素(電子銃、超伝導空洞、RF 源、そしてビームダイナミクス) に関して情報収集と意見交換に来ている。3 月14 日の午後にはLCLS−II 計画に関する加速器・物構 研・先端加速器・合同セミナーを山本明教授の尽力で開催した。アジェンダは以下の通り。

LCLS-II Project at SLAC: Plan and Prospect
 - A 4 GeV CW Free Electro Laser - by T. Raubenheimer, (SLAC)
 - Application of TESL/XFEL/ILC SRF Tehcnology for the CW FEL LCLS-II by M. Ross (SLAC)
その事柄に対する関心の高さを反映して、3 号館のセミナーホールがいっぱいになるほどの多くの方が集まった。
ballERL計画推進室(2014年3月) これまで

1 cERL は、昨年12 月末から周回部のエネルギー回収運転の調整を進めてきた。12 月16 日からの5 日間で減速ビームを確認し、1 月27 日からの調整運転で、一つ一つ細かい調整を確実に行い、2 月6 日の夜に、周回ビームを主加速空洞で減速し、その減速ビームをほとんどビームロスなくビームダンプ に導くところまで達成した。その後、 電流増強を図り、3 月7 日の原子力規制庁の施設検査に たどり着いた。施設検査は午前中の書類検査から始まり、運転時の放射線測定は午後から開始され、 夕方4 時まで検査が行われたが、検査後の講評で合格内定の評を頂いた。現在、加速エネルギーは 20MeV、電流値は4μ A のCW 運転を実現しているが、今後、放射線申請の最大定格である35MeV・ 10μ A に近づける運転調整を進め るとともに、次の放射線変更申請で 電流の増強とJAEA との共同で開 発しているレーザーコンプトンX 線 源ビームラインを盛り込む予定。

1 cERL の調整運転が進むにしたがって、多くの方々の見学が続いている。一つは 3 月 4 日に「光・量子融合連携研究開発プログラム」のプログラム・ディレクター(家康弘 東京大学物性研教授)、プログラム・オフィサー(井上信 京都大学名誉教授、森井幸生  茨城県 BL 産業利用コーディネーター)をはじめ、文科省のメンバーを含 めた総勢 7 名の方々がcERL の建設・調整状況の視察を行われた。今後、c ERL を研究拠点とした、「小型加速器による小型高輝度X 線源とイメージング基盤技術開発」(浦川順治KEK教授代表)や「レーザー・放射光融合による光エネルギー変換機構の解明」(足立伸一KEK教授代表)という研究課題が行われていく予定である。。 また、SuperKEK-B の加速器 review  委員会で KEK に来所されていた Frank  Zimmerman 氏(CERN)、 Andrew Hutton 氏(JLAB)、Matt Poelker 氏(JLAB)、そして Bob Rimmer 氏(JLAB)が興味深くcERL のハードウエアーおよびコミッショニングの状況を視察された。今後の予定として、4 月には SLAC の LCLS-II の建設部隊のメンバーが、cERL での CW 超伝導空洞及び高輝度電子銃の状況の見学依頼の 問い合わせが来ている。

1 2 月中旬に KEK に滞在された Gennady Stupakov 氏(SLAC)から、次世代の半導体微細加工の光源に 関して、大強度の 13.5nm 波長の EUV 光源開発が重要な開発要素であることを示したうえで、800MeV 程度の加速エネルギーの ERL-FEL が、その光源目標を達成することができる可能性を示した。そしてそ の光源開発は ERL の今後の重要な応用項目となるとの指摘を受けている。
  ○研究成果発表の詳細は以下のサイトで http://pfwww.kek.jp/ERLoffice/
推進室WEB:ERL計画推進室   ERLについての一般向け情報サイト

ball測定器開発室(2014年5月) これまで
1 測定器開発室における、Micro Pattern Gas Detector (MPGD)の開発は二つの方向性をもっている。一つは比較的標準的なGEM(Gas Electron Multiplier)フィルムに中性子の変換コーティングなどで機能を持たせ、高計数率の2次元読み出しエレクトロニクスと組み合わせたシステムとすることで、中性子科学などでの実用性を開拓・実証していく方向で、これまでもJ-PARCにおける中性子ビームモニター、中性子イメージング、理研などでの小型中性子源開発のモニター装置などでの利用が進んでいる。もう一方の開発研究は、従来型の銅泊ポリイミドフィルム以外の材料を使った新しいGEMフィルムの開発である。ポリイミドの代替としてテフロン化合物を用いて放電耐性を高めたフィルムがその一つであり、また銅箔を非金属の電気伝導体(PEDOT)に置き換えて、物質量を最小にとどめたフィルムの試作も進んでいる。こうした有機物伝導体ではレーザーによる穴加工が容易にできるため、エッチングをまったく必要としない新しいフォイルの製造方法を確立することができるかもしれない。右写真は、PEDOTをコーティングしたポリイミドフィルムにレーザー加工によりGEM孔を試作したものである。PEDOT被膜をレーザーの衝撃から保護することが課題となり、そのための様々な工夫が検討されている。
ball測定器開発室(2014年4月) これまで

1 測定器開発室において、共同利用研究の重要性は年々高まってきている。なかでも先端 計測地区にあるクリーンルームを利用した超伝導デバイスの試作開発では、機構外の研究 グループのアクティビティが極めて高い。その中で今回は岡山大学のグループによる開発 研究を紹介する。 宇宙背景放射(CMB)観測のための超高感度検出器として測定器開発室においてスター トした超伝導検出器(SCD)プロジェクトであるが、その高い分解能を素粒子原子核実験 の量子測定に活かす試みも精力的に進められている。岡山大学のチームでは。CMB 向けに 開発が進められているKinetic Inductance Detector (KID)の技術を大口径のアレイセンサ ーに展開した、Lumped Element (LE)KID の開発を進めており、このたび1cm 平方の大面 積センサーの試作に成功した。(図1)KID 技術の活用により、7?8素子の大径超伝導セ ンサーアレイが、一本のセンシングノードによって読み出せる構成となっている。今後質 量の小さい暗黒物質探索などでこうしたセンサーが威力を発揮するものと期待されている。

図1 試作された口径1x1cm2 の超伝導LEKID アレイ
ball測定器開発室(2014年3月) これまで
SOI グループの開発研究は、素粒子原子核・放射光科学分野のみならずさまざま分野に おいて積極的に進められつつある。今回はその中で、核融合分野における共同研究を紹介 する。 この研究は核融合科学研究所のLHD(Large Helical Device)計画のグループとともに 進められており、LHD 内で発生したプラズマショットの時間空間分布を特性X 線を測定す ることで、元素ごとに捉えようとする試みである。X 線画像はこれまで、複数のコリメータ・ 単一センサーのセットによる「多視点」観察であったが、SOI ピクセルセンサーとピンホ ールを使えば、エネルギー分解のできる高速X 線画像ムービーが実現できる。
昨年末、SOI ピクセルシステムでプラズマショットの初めて観測が行われた。プラズ マからのX 線を予想通り観測することには成功したが、残念ながら装置、コリメータ、 検出器のアラインメントが十分ではなく、プラズマの全貌を捉えるまでには至らなかっ たものの、この測定におけるSOI ピクセル検出器の可能性を示すことができた。今後ア ラインメントを整えることはもちろん、ピクセル間のエネルギー校正を行うことで、本 格的なエネルギー分解動画を取得して、元素ごとのプラズマショットのダイナミックな ふるまいを画像化ができるものと期待される。
推進室WEB:測定器開発室

ballレーザー科学推進室(2014年5月) これまで

レーザープラズマ加速用のレーザーについては、第三スイッチヤードまでのレーザー伝送路の調整を開始した。
レーザー開発については、Ti:Sapphire レーザーの増強及び、500fs 程度の高エネルギーレーザーの開発に向けて、フラッシュ励起のNdガラスレーザーの開発を行っている。スラブ部分の開発はほぼ完了したため、この前段の増幅器のためのガラスロッドによる増幅器と、さらに高出力にするための8kJタイプのフラッシュランプの点灯試験を行っている。

ballレーザー科学推進室(2014年4月) これまで
レーザープラズマ加速用のレーザーについては、コンプレッサーチェンバーの新規製作及 び、ビームラインまでの光軸ダクトの構築が終了した。 レーザー開発については、Ti:Sapphire レーザーの増強及び、500fs 程度の高エネルギー レーザーの開発に向けて、フラッシュ励起のNd ガラスレーザーの開発を行っている。ガラ スはスラブタイプの物を使用し、フラッシュはロシア製の800J の物を4本用いて、現在小 信号増幅率の測定中である。
ballレーザー科学推進室(2014年3月) これまで
1 レーザープラズマ加速用のレーザーについては、コンプレッサーチェンバーの新規製作及 び、ビームラインまでの光軸ダクトの構築を行っている。 レーザー開発については、Ti:Sapphire レーザーの増強及び、500fs 程度の高エネルギー レーザーの開発に向けて、フラッシュ励起の Nd ガラスレーザーの開発を行っている。ガラ スはスラブタイプの物を使用し、フラッシュはロシア製の 800J の物を8本用いる予定であ る。写真はこのレーザーを3次元造型機で製作し、フラッシュの点灯試験を行っている様 子である。

 

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