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加速器研究施設トピックス 2012/7/9

SuperKEKB陽電子リング用偏向電磁石搬入・据え付け作業開始

6月に入りSuperKEKB陽電子リング曲線部用偏向電磁石100台の本格的な搬入・据え付け作業が始まりました。この偏向電磁石の鉄芯長は約4m、重量はコイルも含めて約7.3トンで、KEKB陽電子用偏向電磁石に比べて鉄芯長で約5倍の長さになっています。SuperKEKB陽電子リングでは磁石の長さを伸ばした分中心磁場を下げ、ゆっくりとビームを曲げることにより低エミッタンスを実現させます。トンネル内に据え付けられる電磁石は全数について予め磁場測定を行いますが、陽電子リング用偏向電磁石についても機構内で精密磁場測定を行い、設計磁場が出ていることや磁場分布に問題がないこと等を確認しました。
今回搬入・据え付けられる電磁石は、まず保管場所から地上部にあるトンネル搬入口へ14トントラックで1台ずつ運ばれて来ます。

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次に、搬入口クレーンを使って約11m下のトンネル部で待ち受けているエア台車の荷台まで、ゆっくりと降ろします。トンネル内の電磁石の運搬にはKEKB同様エア浮上式運搬車(エア台車)を使用します。ちなみにこのようなトンネル搬入口はKEKBトンネル全体で4箇所あり、曲線部へのほとんどの機器の搬入・搬出がこの搬入口から行われます。

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搬入口クレーンで降ろされた電磁石をエア台車の荷台にしっかりと固定した後、台車へ圧縮空気を送って台車全体をバランスよく浮上させます。エア台車には1台あたり4個のエアベアリングが付いていて、ここから圧縮空気を噴出させ床面との間に薄い空気の膜を作ることでホバークラフトのように浮上・移動させます。この空気膜のおかげで床面との摩擦力が減り小さな力でも電磁石のような重量物を運搬することが可能となっています。このエア台車1台では6トンまでの電磁石を運搬することが出来ますが今回搬入する陽電子用偏向電磁石は7.3トンもあるのでエア台車を2台つなげて使っています。2連結された台車は10ミリ程度浮上して、人が歩くくらいのスピードでゆっくりとトンネル内を移動して行きます。ちなみに、このエア台車への電力の供給は天井近くに設置されている赤色のトロリー線経由で行われています。また写真には写っていませんが床面近くに設置されているガイドレールがエア台車の動きを拘束し、エア台車が運転中に勝手な方向に行かないようアシストする役割を担っています。

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エア台車が電磁石据付け場所脇に到着すると、圧縮空気の供給を停止して台車をふんわりと着地させます。次に走行中に折り畳んであった2本の「腕」を拡げ、油圧式で上下する機構を持つ2本の支柱に固定します。この「腕」の上を「渡り吊りビーム」と呼ばれる頑丈な桁(写真ピンク色の鋼材)が電磁石を吊った状態で横移動することで電磁石を目的ポイントまで運びます。支柱の高さを上下することにより電磁石の上げ下ろしをしますが、例えば着地前には吊りビーム両端部のスクリュージャッキを回しソフトランディングさせるなどして精密機器である電磁石が衝撃を受けないよう細心の注意を払っています。

これらの一連の作業には、保管庫から搬入口までの運搬で3人、搬入口からトンネル内のエア台車運搬関係で4人、電磁石据え付けに5人、と大勢の人が専任で従事しています。このような体制のもと現在一日平均3台のペースで据付け作業が進行しています。

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シートで覆われているのが新しく搬入した電磁石
 

〜 記事提供 : 加速器第四研究系 増澤 美佳 氏 〜

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