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加速器研究施設トピックス 2012/10/26

J-PARC・MR電磁石電源レビュー

平成24年10月2日、KEKつくばキャンパス3号館セミナーホールでJ-PARC・MR電磁石電源レビューが加速器研究施設主催で開催されました。

発表プログラム(敬称略)

内藤富士雄:J-PARC/MRの現状と今後
中村衆氏:副変換機を持つ対称化電源の開発
小関国夫、栗本佳典:J-PARC MR「新」電源の開発
神谷幸秀:まとめ

レビューワとして参加していただいた委員の方々は以下の通りです:嶋田 隆一 氏(東工大)、佐藤 健次氏 (放医研/KEK)、熊谷 教孝 氏(JASRI)、熊田 雅之 氏(放医研)、安達 利一 氏 (KEK)、末野 毅 氏 (KEK)、神谷 幸秀 氏 (KEK、委員長)。

J-PARCの主リングは、現在2.48秒の繰り返し時間で30GeVの陽子ビームをニュートリノ実験グループ(T2K(東海to神岡)実験)に供給しています。現在のビームの出力パワーは約200kWですが、これを設計値の750kWまで上げるにはビームエネルギーを50GeVまで上げるか、繰り返しを倍以上にしないといけません。もともとはエネルギーを50GeVまで上げる予定でしたが、50 GeVでは電磁石の飽和の影響が大きく、消費電力も4倍程度に増えてしまうため、エネルギーは30GeVのままで繰り返しを2倍以上にすることにしました。ですが、残念ながら現在使っている電源は繰り返しを倍にすることができません。
30GeVの陽子ビームはハドロン実験にも使われます。この時は周期が6秒になり、30GeVまで加速したビームを2秒以上に渡り少しずつ一様に実験室に供給しなければなりません。ですが、残念ながら現在使っている電源は安定度が十分でないので、ビームの一様性が少し不足しています。

以上のような状況を変えるため、私たちは現在の電磁石電源に変わる新しい電源の開発を行っています。新電源はより早い繰り返しと高い安定度を持たなければいけません。開発の状況はJ-PARCの実負荷(リングの電磁石)を用いた小型器による原理実証試験の段階に達しています。そこで次の段階へ開発を進めるにあたり開発した電源の公開レビューを行い、多くの専門家に意見に出していただき次への参考にさせていただくことにしました。そしてレビューでは非常に活発な意見交換が行われました。終了後、各委員から提出された意見は神谷委員長により報告書にまとめられ、加速器研究施設に提出されました。
我々はこの報告書の内容を十分検討し、より良い電源の開発に邁進したいと思っています。

なお発表資料と報告書は全てWEB上で公開されています。
https://www2.kek.jp/accl/seminar/default.html

〜 記事提供 : 加速器第二研究系 内藤 富士雄 氏 〜

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