KEK史料室について

  高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、1971年「高エネルギー物理学研究所」として発足しました。そして、1997年には東大原子核研究所および東大理学部付属中間子科学研究センターと統合して新しく現組織となりました。この間、素粒子物理学や大型加速器を使った研究の日本における中心地として12GeV-陽子シンクロトロン、放射光実験用加速器Photon Factory、TRISTAN衝突型加速器、そしてKEKB衝突型加速器などを建設し、それらの施設において数多くの実験を推進してさまざまな成果を内外に発表してきました。KEK史料室は、KEK機構長を務めた菅原寛孝氏の提案を受け、2001年頃から活動の基礎を固めつつありましたが、2004年4月に機構の法人化とともに正式組織として発足しました。

  一般に「史料」あるいは「アーカイブズ」とは、組織(国や自治体・企業・機関・団体等)や個人がその活動の過程で生み出した記録のうち、その組織や個人、あるいは広く社会にとって様々な価値があることから、永続的に保存・活用される記録物のことです。また記録・史料を保存して、組織体内部のみならず一般への公開に供するための施設またはシステムのことも「アーカイブズ」と呼ばれています。

  KEK史料室では、KEK自身およびその研究分野における記録資料(即ち史料)を収集・整理・保管しています。さらに、既存の史料では不十分な情報を補うために関係者へのインタビュー活動、研究活動の記録などを目的とするシンポジウムの企画・実行など、史料の発掘にも取り組んでいます。こうして得られた史料は必要に応じて外部の人々への利用に供し、科学史研究者などへの便宜をはかっています。

  一方では、史料保存技術の習得、デジタル化したデータを有効活用する方法の検討も行っています。また、こうした活動における他機関との連携を深めるため、アーカイブズ活動に関する研究を総合研究大学院大学(総研大)や核融合科学研究所等と協力しながら進めています。

KEK 史料室