加速器とは

加速器の原理と種類について紹介します

原理

加速器は粒子に運動エネルギ-を与えて、速度を上げる(加速する)ための装置です。 粒子の加速には電場を用います。 電荷を持った粒子は電場による力を受け、エネルギーをもらい、速度が大きくなります。

例えば右の図のように、二つの正負に帯電した電極板により電場が形成されます。 正の電荷をもった陽子が正に帯電した穴から電場に入ると、負の電極板に向かって引き寄せられます。 この時、陽子は加速され、速度を上げて負の電極に向かいます。

この時の陽子の運動エネルギーは、電場の中での位置エネルギーが運動エネルギーに変えられたものです。 電極間の電圧が 1 ボルトの時、陽子の得るエネルギーを 1 電子ボルト(1 eV)と言います。

歴史

加速器の歴史は、1932年のコッククロフトとウオルトンによる多段の倍電圧整流回路によって作られた800 kVの高電圧発生装置から始まります。 この時、粒子は800 keV (1 keV = 1000eV)のエネルギーにまで加速されます。

ほぼ同時期にバンデグラフによって帯電ベルト方式の加速器が開発されましたが、いずれも静電型の加速器で、絶縁破壊によって到達可能なエネルギーが制限されていました。

1927年、ヴィデレーはプラスとマイナスが高速で切り替わる高周波電場による多段加速を実証し、1931年には同じ原理で1MeV (1 MeV=1,000,000 eV)まで加速が行われています。 1932年には円形加速器であるサイクロトロンが開発されました。 現在では欧州原子核研究機構(CERN)に円形加速器シンクロトロンで周長 27 kmのLHCと呼ばれる加速器が、陽子を6.5 TeV(1 TeV= 1,000,000,000,000 eV)まで加速しています。

種類

加速器の呼称 電場の種類 粒子の軌道
コッククロフト・ウォルトン型 静電場 直線
バンデグラフ型 静電場 直線
高周波線形加速器 高周波 直線
サイクロトロン 高周波
シンクロトロン 高周波