高エネルギー加速器研究機構(KEK)では、2013 年度から、アジア太平洋地域の若手・中堅女性研究者へ日本の最先端研究施設や研究環境の基で共同研究を行う機会を提供することで、キャリア形成を支援し、さらには長期的な共同研究の芽を育てることを目的として、「海外若手研究者受入事業(ATHENA アテナプログラム)」を毎年実施しています。
2023 年度は3 名の女性研究者を受け入れました。
2023 年10 月16 日から11 月2 日までATHENA プログラムに参加しました。私の研究は、患者のいる場所の周囲の壁や床といった、最も重要な散乱線源に焦点を当てています。KEK とは対照的に、私の勤務地では利便性が限られていることが、このプログラムに参加する動機となりました。また、放射線利用の先進国としての日本の評価も、このプログラムに参加せざるを得なかった理由のひとつです。
今回の訪問を通して、私の研究に直結するガンマ線の測定とシミュレーションに関する知識を得ることができました。また、放射線の医療利用に関する最先端技術の知識を得る目的で、iBNCT と東北大学(サイリック)を訪問する機会がありました。測定プログラムでは、CeBr3 シンチレーションスペクトロメーターの操作に習熟し、分光器内の間接ガンマ線寄与を正確に定量するために必要な構成を確立することに成功しました。また、KEK の加速器に行き、KEK で進行中のプロジェクトを見て学びました。
このプログラムに参加している間、全く問題はありませんでした。
KEK にはレンタサイクルを含め、複数の移動手段があり、ハラルフードも問題なく手にいれることができました。KEK のスタッフは非常に歓迎的で親切なため、ATHENA プログラムへの参加は非常に楽しい経験となりました。
このプログラムで得た研究経験は非常に有益でした。このプログラムに参加している間、佐波俊哉教授とKim Tran Tuyet 博士は、実験を行う上で非常に貴重な支援をしてくださり、まったく不慣れな状態からデータをうまく取得できるように導いてくださいました。このセミナーでスペシャリストの方々からいただいた知見は本当に重要です。また、プログラム終了後も、研究に関して何か質問があれば、KEK の専門家の方々と連絡を取ることができます。
日本、特にKEK に来ることは、研究を行うための素晴らしいチャンスであると同時に、その雰囲気、素晴らしい自然環境、独特の文化体験に浸るための最適な選択でもあります。一人旅でも、日本は私に安心感を与えてくれます。また、その文化は私に日本を再訪したいという気持ちを植え付けてくれます。
A: I participated in the ATHENA program from October 16th to November 2nd, 2023. My research focuses on the most significant sources of scattered radiation around the patient's location, which are the surrounding walls and floor. The limited availability of amenities at my location, in contrast to KEK, motivated me to engage in this program. Additionally, one of the grounds that compelled me to participate in this program is Japan's reputation as an advanced nation in the domain of radiation.
A: Throughout my visit, I acquired knowledge regarding the measurement and simulation of gamma rays, which directly pertains to my research. Furthermore, I had the opportunity to visit iBNCT and Tohoku University (Cyric) with the purpose of acquiring knowledge on cutting-edge technology pertaining to the medicinal utilization of radiation. During the measurement program, I acquired proficiency in operating a CeBr3 scintillation spectrometer and successfully established the necessary configuration to accurately quantify the indirect gamma-ray contribution within the spectrometer. I also went to the KEK accelerators to see and learn about the ongoing projects being run by KEK.
A: During my involvement in this program, I had no issues at all. Obtaining halal meals during participation in this program poses no difficulty, since there are plenty options available Transportation is not an issue as KEK offers bicycle rental facilities. The staff at KEK exhibit a highly welcoming and helpful approach, making the participation in the ATHENA program a thoroughly pleasurable experience.
A: The research experience I acquired from this program was quite beneficial. During my tenure in this program, Prof. Toshiya Sanami and Dr. Kim Tran Tuyet provided invaluable assistance in conducting the experiment, guiding me from a state of complete unfamiliarity to successfully obtaining the data. The insights provided by specialists during this seminar are really important. Also, if I have any queries about research after the program ends, I can still get in touch with the KEK experts.
A: Coming to Japan, particularly KEK, presents a remarkable chance for conducting study and is also the optimal choice for immersing oneself in the atmosphere, exquisite natural surroundings, and distinctive cultural experiences. Even when traveling alone, Japan provides me with a sense of security. The culture also instills in me a desire to revisit Japan.
アジア太平洋諸国における若手女性研究者のためのフェローシップ・プログラム、通称「アテナ・プログラム」に選ばれたことは光栄でした。この機会は、超対称性粒子の世界をより深く掘り下げるチャンスを与えてくれました。津野総司教授と共同研究するチャンスが巡ってきたとき、それは私にとって断れないオファーでした。KEK は最先端の研究の拠点として知られており、私たちの出会いの場となりました。
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新しい国や厳しいスケジュールに適応することは、当初は困難でした。慣れない環境と文化の違いに、時折、故郷の快適さが恋しくなりました。しかし、KEK の同僚たちの真の温かさによって、私はすぐに溶け込み、大切にされていると感じることができました。
アテナ・プログラムに選ばれ、KEK で働く機会を得たことは、深く豊かな経験でした。このプログラムの研究課題は、超対称粒子、特にマヨラナナ・グルイーノによる同符号レプトン対の探索です。私は以前、ATLAS の共同研究で物理解析の重要な経験を積んでいましたが、超対称粒子やKEK の特定の研究分野についての知識は限られていました。そこで、津野教授の貴重なご指導が役立ちました。彼の寛大な指導のおかげで、私は研究を深く掘り下げることができました。私はデータの再構成、選択、分析に直接携わりました。私たちの努力の積み重ねが、実に興味深い結果に結実したのです。
確かに、仕事は爽快でしたが、圧倒される日もありました。家族と離れていること、新しい国に適応すること、そして研究の厳しい性質が、時折私を苦しめました。
しかし、最大の難関は言葉の壁でした。多くの研究者が英語を話しますが、日常的な交流が困難になることもありました。しかし、これを機会に日本語の基礎を学びました。また、翻訳アプリや温かく親切な日本人のおかげで、まったく迷うことはありませんでした。
アテナプログラムを通じてKEK で働いたことは、私のキャリアを決定付ける経験でした。超対称性粒子について得た洞察は、私が経験した個人的な成長と相まって、研究者としても個人としても私を形成しました。共同研究の精神、KEK の最先端施設、そしてアテナ・プログラムのサポートは、この旅を忘れがたいものにしてくれました。私は今、知識への探求を続け、他の若い女性研究者に高い目標を目指す意欲を与えたいと、これまで以上に意欲 を感じています。
研究室の外では、日本での生活を楽しみました。滞在中のハイライトのひとつは、つくばのお祭りに参加したことです。そこで私は「盆踊り」と呼ばれる音楽、リズム、コミュニティの精神が美しく合体した伝統的な踊りを体験しました。このようなお祭りは日本の心と魂をとらえていて、それに参加することで、地元の文化と深いレベルでつながることができました。さらに、日本を象徴するスポットである浅草寺への観光にも挑戦しました。その歴史的な壮麗さの中に立つと、深い安らぎを感じ、 日本文化の永遠の美しさと奥深さを再認識しました。滞在中、KEK の内外で地元の食べ物も楽しみました、 ちなみに、ラーメンは私の中で間違いなくトップでした!
A: It was an honor when I was chosen for the Fellowship Program for Young Female Researchers in Asia-Pacific Countries, also known as the “Athena Program”. This opportunity provided me with the chance to delve deeper into the world of super-symmetric particles. When the chance to collaborate with Professor Soshi Tsuno emerged, it was an offer I couldn't refuse. KEK, with its reputation for being a hub of advanced research, became our meeting ground. Adapting to a new country and a rigorous schedule was initially challenging. The unfamiliar surroundings and cultural differences occasionally made me yearn for the comforts of home. However, the genuine warmth of my colleagues at KEK quickly made me feel integrated and valued.
A: Being selected for the Athena Program and having the opportunity to work at KEK was a profound and enriching experience. The research task for this program is the search for super-symmetric particles, particularly in the same-sign dilepton events through Majoranagluino. Although I had previously gained significant experience in physics analysis with the ATLAS collaboration, my familiarity with super-symmetric particles and the specific research areas at KEK was limited. This is where Professor Soshi Tsuno's invaluable guidance came into play. His generous mentorship enabled me to delve deeply into the research. I was directly involved in data reconstruction, selection, and analysis. Our combined efforts culminated in some truly interesting results.
A: Indeed, while the work was exhilarating, there were days when I felt overwhelmed. Being away from my family, adjusting to a new country, and the demanding nature of the research did take a toll on me occasionally.
But, the biggest challenge was the language barrier. While many researchers spoke English, day-to-day interactions sometimes posed difficulties. However, I took this as an opportunity to learn basic Japanese. Plus, thanks to translation apps and the warm and hospitable Japanese people, I never felt entirely lost.
A: Working at KEK through the Athena Program has been a career-defining experience for me. The insights I gained on super-symmetric particles, combined with the personal growth I experienced, have shaped me both as a researcher and an individual. The spirit of collaboration, the state-of-the-art facilities at KEK, and the support of the Athena Program have made this journey unforgettable. I am now more motivated than ever to continue my quest for knowledge and to inspire other young female researchers to reach for the stars.
A: Outside of the laboratory, I enjoyed my life in Japan. One of the highlights of my stay was attending the Tsukuba festival. There, I experienced the traditional dance called "bonodori" - a beautiful confluence of music, rhythm, and community spirit. Such festivals capture the heart and soul of Japan and allowed me to connect on a deeper level with the local culture. Furthermore, my sightseeing adventures led me to the iconic Senso-ji temple. Standing amidst its historic splendor, I felt a profound sense of serenity, reminding me of the timeless beauty and depth of Japanese culture. During my stay, I also enjoyed the local food both inside and outside KEK, and by the way, Ramen undoubtedly claimed the top spot on my list!
まず、私の指導教官である小杉信弘教授と小澤健一准教授の貴重なご指導に心から感謝いたします。また、KEK での魅力的な科学研究のためにKEK を訪問する機会を与えてくださったアテナプログラムに感謝いたします。私はX 線光電子分光(XPS)に興味を持ち、KEK のフォトンファクトリー(PF)のBL-13B に来ました。私は以前、タイでシンクロトロン光研究所のBL5.3 XPS ステーションで、修士号を取得した後、数年間BL5.3 XPS ステーションで働いていて、日本で博士の学位を取得する希望をもっていました。そこで、IMSS の所長である小杉信弘教授にメールを送り、PF の光電子分光の担当者である小澤健一准教授に紹介してもらいました。その後、微小光電子分光を専門とするBLs13B, 28A, 2B, 3B での研究に参加する機会を得ました。この研究では、BL-13B で軟X 線を用いたマイクロX 線光電子分光(μ-XPS)測定を行い、Pd(パラジウム)-Rh(ロジウム)合金とCO2 分子の相互作用メカニズムを解明しました。
KEK のビームラインとフォトンファクトリーでの経験は、啓発的であり、変革的でした。ビームラインで過ごした期間を通して、高エネルギー粒子の研究で採用されている実験技術について貴重な洞察を得ることができました。この分野の研究者や専門家と一緒に仕事をすることで、知識だけでなく実践的なスキルも広がりました。この学習体験のハイライトのひとつは、進行中の研究プロジェクトに貢献できたことです。熱心な科学者のグループと一緒に仕事をすることで、理論的な概念を実践的な実験に応用し、より良い科学的理解のために努力することができました。さらに、ビームライン研究チームから受けた指導は非常に貴重でした。彼らの指導と豊富な知識を分かち合おうとする姿勢は、私の学びの旅をより豊かなものにし、この分野での私の将来の努力に確かな土台を与えてくれました。つまり、KEKでの経験は、間違いなく私が将来科学研究を追求するのに、役立つでしょう。
このプログラムに参加している間、多くの研究者との共同作業、旅行、住居、食事、文化など、全く問題はありませんでした。というのも、KEK の誰もが非常に歓迎し、親切に対応してくれるからです。しかし、言葉の問題は少しあります。これは、言語を練習し、同時に学ぶ機会だと考えているので、私にとっては問題ではありません。このプログラムに参加することは、とても良い経験になります。
このプログラムで得た研究経験はとても役に立ちました。このプログラムでは、小澤健一准教授と廣森健太さんが、実験を行う上で非常に貴重なサポートをしてくださり、全く分からない状態からデータをうまく取れるように導いてくださいました。セミナーで指導教官からいただいた見識は重要です。KEK での経験は、私の将来の科学的探求を形作るでしょう。そして、私の活動を通して、タイのシンクロトロン・コミュニティの活性化に貢献できることでしょう。また、プログラム終了後も、研究に関して何か質問があれば、KEK の専門家と連絡を取ることができます。
日本、特にKEK に来るのは今回が初めてですが、KEK は研究を行うための素晴らしいチャンスであると同時に、日本の雰囲気や素晴らしい自然環境、独特の文化体験に浸るには最適な場所です。地元のレストランで本格的な日本食を食べましたが、日本食は好きです。日本の美しい自然を筑波山を旅した時に体験しました。KEK 周辺の清掃活動に参加したり、買い物に出かけたり、デパートでタイの家族や友人へのお土産を買いました。東京へは便利な公共交通機関を使って行きました。日本での研究室の外での生活は、いつも実験のようです。私はとても美しい経験をしました。
A: Firstly, I would like to express my sincere appreciation to Professor Nobuhiro Kosugi and Associate Professor Kenichi Ozawa, my advisor, for invaluable guidance, and I would like to express gratitude to the ATHENA PROGRAM for providing the opportunity to visit KEK for fascinating scientific research at KEK. My interest in X-ray Photoelectron Spectroscopy (XPS) led me to BL-13B, Photon Factory (PF), KEK. I had previously worked at BL5.3 XPS, Synchrotron Light Research Institute, Thailand, where operated as a stand-alone machine, I have worked at the BL5.3 XPS station for several years after getting the Master’s degree, and I wanted to get a Doctor’s degree in the same research field in Japan. Then, I sent an e-mail to Professor Nobuhiro Kosugi, the director of IMSS, and asked him to connect with the person in charge of photoelectron spectroscopy at PF, namely, Associate Professor Kenichi Ozawa. Then, I had the opportunity to join study at BLs13B, 28A, 2B and 3B which specializes in micro photoemission. In this study, micro-X-ray photoemission spectroscopy (μ-XPS) measurements using soft X-rays were performed at BL-13B to elucidate the interaction mechanism between the Pd (palladium)-Rh (rhodium) alloy and CO2 molecules.
A: My experiences at the KEK beamlines and photon factory have been both enlightening and transformative. Throughout my time spent on the beamlines, I gained valuable insight into the experimental techniques employed in the study of energetic particles. Working with researchers and experts in the field expanded my knowledge as well as my practical skills. One of the highlights of this learning experience was the opportunity to contribute to an ongoing research project. Working with a group of enthusiastic scientists allowed me to apply theoretical concepts to practical experiments and to strive for a better scientific understanding. Furthermore, the guidance I received from the beamline research team was invaluable. Their guidance and willingness to share their wealth of knowledge enriched my learning journey and provided a solid foundation for my future endeavors in this field. In short, my experience at KEK will undoubtedly shape my future pursuits in scientific research.
A: During my participation in this program Working with many researchers, travelling, housing, food, and culture, I had no problems at all. Because everyone at KEK exhibits a highly welcoming and helpful approach. But there will be a slight language problem. This isn't a problem for me because I consider it an opportunity to practice the language and learn at the same time. Makes participating in this program a very good experience.
A: The research experience I acquired from this program was very helpful. During this program, Assoc. Prof. Kenichi Ozawa and Mr. Kenita Hiromori provided invaluable assistance in conducting the experiment, guiding me from a state of complete unfamiliarity to successfully obtaining the data. The insights provided by my advisor during this seminar are important. My experiences at KEK would shape my future scientific pursuits. And I will be able to help revitalize the synchrotron community in Thailand through my activities. Also, if I have any queries about research after the program ends, I can still get in touch with the KEK experts.
A: This is my first time coming to Japan, particularly KEK, presents a remarkable chance for conducting study and is also the optimal choice for immersing oneself in the atmosphere, exquisite natural surroundings, and distinctive cultural experiences. I ate authentic Japanese food at a local restaurant, I really like Japanese cuisine. The beautiful nature of Japan, where I traveled to Mount Tsukuba. I participated in activities such as cleaning campaigns in the area around KEK, went shopping, and visited the department store to buy souvenirs for family and friends in Thailand. I traveled to Tokyo using the very convenient public transportation system. Life outside the lab in Japan is always like an experiment. I had a very beautiful experience."