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ミュオンビーム高度化(超低速μ+)

◙ 透過型ミュオン顕微鏡イメージング

▞ 新しい顕微鏡の誕生

10μm厚試料の3Dイメージングと電子顕微鏡

このような先進的ミュオンビームは従来のミュオンビームでは不可能であった研究をも可能にします。
これまでは生成・崩壊時の空間反転非対称性を利用する研究にその用途が限られていたスピンを持った粒子であるミュオンを、超冷却・再加速により時間・空間コヒーレンスに優れた高輝度ミュオンマイクロビームとして創成し、ミュオンの粒子性と波動性の2面性を実証します。さらに、ミュオンの波動性を利用した透過型ミュオン顕微鏡へと発展させるべく、これを駆使した新しい顕微法の確立をも目指しています。

光(X線)、電子線に次ぐ新しい顕微鏡として、表面・界面・薄膜の先端ナノサイエンスに革新をもたらす超低速ミュオンの可能性を、今後さらに探求していきます。 なお、この分野にかかる研究で JSPS科研費 17H06126(基盤研究S)の助成も受けています。

なお、この分野にかかる研究で JSPS科研費 17H06126(基盤研究S)の助成も受けています。

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◙ 超低速ミュオンビームによるナノサイエンス

▞ 多層膜研究等のナノサイエンスへの展開

三宅康博 教授(左)と下村浩一郎 教授(右)

ミュオン標的から飛び出してくる低速ミュオン(μ+)を、大口径ソレノイド磁石系によって捕獲し、効率よく実験室に輸送する新しい概念の軸収束ミュオンビームラインが、Uラインです。ここで得られる大強度低速ミュオン(μ+)を、高温のタングステン箔に打ち込み、蒸発してきたミュオニウムにパルス状レーザー(1s-2p-非束縛状態)を照射して電子をはぎとることにより、高輝度の超低速ミュオン(μ+)が得られます。

この全く新しいビームを用いて、高感度な局所プローブとしてのミュオンの特徴、超低速ミュオンの特性を生かし、表面や界面に現れる多様な物理・化学・生命現象のメカニズムを解明するための、新しい2つのミュオンビームが開発されています。 深さ方向にナノメータ分解能での連続走査性能を持つ「超低速ミュオン」と、ミクロンオーダーのビーム径で物質内部の3次元走査性能を持つ「高密度マイクロビーム」が、ナノサイエンス分野研究の強力なツールとなります。

表面から物質内部への電子状態の移り変わりを連続的に調べることを可能にするこれらの先進的ミュオンビームは、表面、サブサーフェスおよび、これまでほとんど分析手法が無かった”界面”の解析も可能となる画期的な研究プローブとなり得る他、パルス状ミュオンでは不可能な高速ミュオンスピン回転実験、さらに、これまでは測定ができなかった微小な試料の実験をも可能にします。 加えて「超低速ミュオン」をさらに低速化し、「マイクロビーム」をさらに尖鋭化することにより、「標準理論」を越える素粒子/基礎物理のフロンティア構築へもつながります。

J-PARC 物質生命科学実験施設 第2実験ホールミュオンビームラインのイメージ
上:超低速ミュオンビームライン(U-Line)、下:汎用ミュオンビームライン(D-Line)

なお、この分野にかかる研究で MEXT科研費 JP23108001(新学術領域研究:A01 超低速ミュオン顕微鏡と極微μSR法創成)の助成も受けています。
23108001 研究成果報告書

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