J-PARC MLF ミュオン科学実験施設でのリュウグウ試料の分析が始まりました

物構研 Facebook
2021-07-01

6/28午後、ミュオン分析用のリュウグウ試料を載せた東北大学 中村智樹教授 の車がJ-PARC 物質・生命科学実験施設 MLFに到着しました。試料を入れた密閉容器は厳重にビニール袋で包まれ、皮のボストンバッグに収まっています。MLF玄関では、大阪大学 の寺田健太郎教授や、今回使用するグローブボックス製作を担当した JAEA の大澤崇人研究主幹、物構研 の竹下聡史助教が出迎えました。

ミュオンD2実験エリアでは、東北大学、大阪大学、東京大学、国際基督教大学 などから集まったおよそ20名の研究者が首を長くして待っていました。中村教授は、ビニール袋の封を切ると容器を掲げ研究者たちに見せつつも、試料が無事か真剣な眼差しで確かめます。

試料は銅箔に包まれて銅の半円の中心付近にあります。地球の大気に触れることがないよう密閉容器ごとグローブボックスに入れ、ボックス内の酸素や水蒸気が一定の基準以下であることを確認してから容器を開けます。ねじ止めを外し、銅の部分だけを銅のレールに乗せます。レールは負ミュオンの通り道の延長線上にあり、銅の部分を突き当りまで押し込むと、ちょうど検出器の中央に位置するように設計されています。…と言葉で説明しても分かりにくいので、ぜひ 動画をご覧ください。

こうして無事実験が始まりました。測定は今週いっぱい続きます。いいデータがとれますように。


YouTube 物構研チャンネル 2021/06/30
ミュオンの実験装置にリュウグウ試料を設置する東北大学 中村智樹教授(1m47s)

グローブボックス製作についてはこちらの記事をご覧ください。

【水戸経済新聞】2021/02/17
水戸の機器メーカーとJ-PARC、「はやぶさ2」回収試料の分析法確立目指す

YouTube SCIENCE CANNEL(JST)2014/11/05
[ScienceNews2014] はやぶさ2を待つ 小惑星サンプルの分析技術

大阪大学・KEKほかプレスリリース 2014/05/27
人類が手にする物質を透視する新しい“眼”~素粒子ミュオンを使った非破壊軽元素分析に成功~

関連論文 Scientific Reports Published: 27 May 2014
"A new X-ray fluorescence spectroscopy for extraterrestrial materials using a muon beam"

物構研リュウグウ試料分析特設サイト「はやぶさ2」微粒子分析