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「宇宙の物質優勢の謎に迫る大きな野望」 大学共同利用機関シンポジウム2017

全国20カ所の研究所や博物館などが出展する「大学共同利用機関シンポジウム2017〜研究者に会いに行こう!」が10月8日、千代田区・秋葉原の@アキバ・スクエアで開かれました。大学共同利用機関法人が発足した直後の2010年から毎年秋に開かれており、KEKからは素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所、加速器研究施設、共通基盤研究施設が参加。素核研からはニュートリノ実験グループリーダーの藤井芳昭教授が実験の最前線について、「宇宙の物質優勢の謎に迫る大きな野望に挑もうとしています」などと報告しました。

会場の@アキバ・スクエアには午前中から、四つの大学共同利用機関に所属する19の研究所・博物館・施設と、総合研究大学院大学が計20のブースを出展。午後から行われた研究者トークには、KEKから野村昌治理事、藤井芳昭教授、物構研の阿部仁准教授、加速器研究施設の奥木敏行准教授、共通基盤研究施設の真鍋篤教授が登壇しました。野村理事はKEKのミッションについて、「加速器施設を使って素粒子を理解し、宇宙の始まりを解き明かすこと。さらに、加速器から出てくる放射光や中性子などを使って物質の構造を調べ、様々な分野に役立てている」とコメントし、その成果はノーベル賞物理学賞やノーベル化学賞にも結びついたことを報告しました。

続いて登壇した藤井教授は、ニュートリノという素粒子の不思議な性質から、T2K実験の最前線までを紹介しました。物をスカスカ素通りし、質量も電子などより極端に軽いというだけでよくわかっておらず、電子型ニュートリノ、ミュー型ニュートリノ、タウ型ニュートリノの三つの種類に移り変わる(振動する)という不思議な性質を説明。その上で、「このニュートリノの不思議な性質を利用し、宇宙の進化の謎に迫るのが、J-PARCとスーパーカミオカンデで行われているニュートリノ実験(T2K実験)です。137億年の宇宙の進化の過程で、反物質が消え、物質優勢の謎を解く鍵が、ニュートリノ振動におけるCP対称性の破れに関わるパラメータであり、それを詳しく測定している」と説明しました。

KEKのブースには、ニュートリノ実験の様子を立体的に説明する模型などが設置され、研究者や広報担当者が訪れた人々の質問に答えていました。

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