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素粒子物理学の日欧ネットワークJENNIFERが総会 11カ国から40人が出席

ニュートリノや高輝度加速器実験など最先端の素粒子物理研究者を支援する日欧のネットワーク(JENNIFER)の総会が10月6日、KEKつくばキャンパスで開かれました。JENNIFERの総会が日本で開催されるのは初めてで、ドイツ、フランス、イタリア、ポーランド、スロベニア、イギリス、オーストリア、チェコ、スベイン、トルコの10カ国と日本の研究者ら約40人が出席しました。

このネットワークは、世界をリードする日本の二つの素粒子実験プロジェクト、SuperKEKB加速器・BelleⅡ実験(KEKつくばキャンパス)と、J-PARC(東海村)からスーパーカミオカンデ(岐阜県飛騨市)にニュートリノを打ち込むT2K実験に、欧州の研究者を派遣して共同研究を進めるため、欧州連合(EU)の支援で2015年に発足しました。欧州各国の主要な14研究機関・産業組織と、ホスト国・日本のKEKと東京大宇宙線研究所(ICRR)がコンソーシアムを組み、多くの研究者を欧州から日本に派遣しています。実際、この二つのブロジェクトでは、参画する研究者の7-8割が欧州やアメリカなど日本以外の国から来ており、とくに国際色の強いプロジェクトとなっています。

総会では、山内正則機構長が「二つの実験は、エネルギーフロンティアとは別の方法で標準理論を超えた新しい物理を切り開くユニークな試み。国際的な共同研究を主催するのはKEKのミッションの一つでもあり、JENNIFERの枠組みはとても重要である」とあいさつ。JENNIERのアントニオ・パセリ(Dr. Antonio Passeri)プロジェクト・コーディネータも「日本で開催できたことは大変ありがたいこと」と感謝の言葉を述べたうえで、「二つの共同研究を資金面で支えるという点で、EUは大変重要な役割を担っている。JENIIFERの支援期間は2019年3月までだが、その後もニュートリノ物理とBelleⅡにおける共同研究を続けていくため、次期プロジェクトの提案についても議論したい」とコメントしました。

この後、BelleⅡ実験とT2K実験にかかわる研究者から、①電子・陽電子衝突加速器におけるフレーバー物理、②BelleⅡ測定器の組み立てと試験、③ニュートリノ振動の物理、④次期計画のハイパーカミオカンデに向けた取り組み、⑤異分野の研究者交流とアウトリーチ—-という五つのテーマごとに進捗状況が報告されました。


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