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Bファクトリー実験の生みの親たちがアメリカ物理学会パノフスキー賞を受賞

2015年10月5日、高崎史彦KEK名誉教授(元・素粒子原子核研究所所長)、スティーフン・オルセン(Stephen Olsen)博士、ジョナサン・ドーファン(Jonathan Dorfan)博士、デービッド・ヒトリン(David Hitlin)博士の4名がアメリカ物理学会 2016年 素粒子物理学実験分野における W.K.H. パノフスキー賞を受賞しました。 「Belle実験とBaBar実験におけるリーダーシップと、それらの実験がB中間子におけるCP対称性の破れを確立し、クォークの混合と量子色力学への理解をより深めたこと」が評価され、今回の受賞となりました。

パノフスキー賞はアメリカ物理学会が顕彰する素粒子物理学関連の賞で最も栄誉のある賞です。

 

KEKに建設されたKEKB加速器を使ったBelle実験とアメリカのSLAC国立加速器研究所のBaBar実験は ボトムクォークを含む粒子を大量に作りだし、その性質を調べる「Bファクトリー実験」です。 2001年にB中間子でCP対称性の破れ(粒子と反粒子の違い)が大きいことを実証し、 この結果がCP対称性の破れを予言した小林・益川理論の裏付けとなり、2008年ノーベル物理学賞へと繋がりました。

今回受賞したのは「Bファクトリー実験の生みの親たち」と呼べる4人の研究者です。 高崎名誉教授とオルセン博士は日本のKEKで行われたBelle実験、ドーファン博士とヒトリン博士はアメリカのスタンフォードにあるSLAC国立研究所で行われたBaBar実験の指揮を執っていました。

用語解説

Bファクトリー実験

電子とその反粒子である陽電子をほぼ光速まで加速し、衝突させる実験です。 この衝突によりB中間子と呼ばれる粒子と、その反粒子である反B中間子が生成されます。 このB中間子の生成頻度が非常に高いため「B中間子の生成工場」という意味で「Bファクトリー実験」と呼ばれています。

大量に生成されたB中間子やタウ粒子、チャーム粒子などの崩壊現象を研究することで、粒子・反粒子の対称性の破れや宇宙初期に起こったはずの極めて稀な現象を再現し、未知の粒子や力の性質を明らかにします。また、そこから新しい物理法則の解明を図り、宇宙から反物質が消えた謎に迫ります。

Belle実験

1998年から2010年までKEKに建設された高輝度電子陽電子衝突型加速器KEKBを使って行われていたBファクトリー実験です。 世界15の国と地域から約400人の研究者や技術者が参加していました(2010年当時)。 高崎名誉教授はこの実験計画をKEKB加速器の立案から主導し、オルセン博士らとともに初代実験代表者を務めました。

Belle実験は現在、粒子・反粒子の違いのさらなる精密測定と新しい物理法則の探索を目指したBelle II実験へのアップグレードを行っています。

BaBar実験

1998年から2008年までアメリカのSLAC国立加速器研究所のPEP-II加速器を使って行われていたBファクトリー実験です。 世界13カ国から約600人の研究者や技術者が参加していました。 ドーファン博士はPEP-II加速器の建設を主導し、BaBar測定器の建設責任者を務めたのち、1999年からはSLACの所長になりました。 ヒトリン博士は初代実験代表者を務めました。

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