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K中間子ビームの生成を確認 −J-PARC ハドロン実験施設 K1.8BRビームライン― |
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J-PARCセンター |
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E17(実験責任者、早野龍五 東京大学大学院教授)およびE15(実験責任者、岩崎雅彦 理化学研究所主任研究員)の合同実験チームは、今回、J-PARCハドロン実験施設のK1.8BRビームラインからの二次粒子ビーム中にK中間子が生成されていることを確認した。この結果は、3月25、26日に東海村で行われた「J-PARCハドロン実験ホールへの最初のビームを記念するワークショップ」で実験チームの鈴木隆敏博士(東京大)によって報告された。 K中間子の同定に用いられた方法は、一定の距離を粒子が飛行する時間を正確に計ることによってその質量を求める、「飛行時間(Time of Flight, TOF)法」と呼ばれるものである。これまで実験チームは、このTOF法で、ビーム中のπ中間子と陽子の確認には成功していた。2008年度の加速器運転終了後も、実験チームは、運転中に記録したデータの解析を精力的に進め、TOF法による質量測定の精度を飛躍的に向上させた。その結果、図1に示すように、TOFの分布の中にK中間子のピークを見いだす事に成功した。 観測されたK中間子の数は、π中間子のおよそ1/500で、あらかじめK1.8BRビームラインで予想されていた通りの値である。今後、高電圧を用いてK中間子を濃縮する機能を持つ「静電セパレータ」と呼ばれる装置(すでにビームライン中に設置済み)を運転することにより、この比を1/10から1程度にまで向上させられる予定である。さらにπ中間子でのみ信号を発するチェレンコフカウンターと呼ばれる装置の導入により、実験標的上に、ほぼ100%確実にK中間子が到達したことを示す「トリガー信号」を作り出すことが可能になる。今回のK中間子の確認成功は、実験に必要なこれら一連の操作がK1.8BRビームラインで十分に実現可能であることを示しており、秋のビームタイムでの実験成功に向けて大きな一歩を踏み出したものと言える。
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