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last update:10/04/09  
総研大物質構造科学専攻のシミン・ラヒギさんが第15回長倉研究奨励賞を受賞
 
 
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3月24日、総合研究大学院大学・物質構造科学専攻のシミン・ラヒギ(Simin Rahighi)さん(現・物質構造科学研究所、学振外国人特別研究員)が平成21年度(第15回)長倉研究奨励賞に選ばれました。長倉賞は,総合研究大学院大学初代学長長倉三郎氏からの寄付金をもとに,特に優秀な学生の研究を奨励し,先導的な学問分野を開拓するために設置されたものです。
 
image NEMOとユビキチンの結合のしくみ

NEMOのコイルドコイル2量体の両面に直鎖状2連結ユビキチンが対称的に結合。
受賞対象となった研究は「Structural and biochemical studies on ubiquitin signaling in the NF-κB pathway(NF-κB経路におけるユビキチンシグナル伝達の構造生物学的および生化学的研究)」です。転写因子NF-κBは、抗体を作り出す細胞であるB細胞で発見されました。通常は細胞質内に不活性な状態で存在しますが、スイッチが入った状態になると細胞核に運ばれ、DNAの転写が始まります。ラヒギさんは、このNF-κBが核内に移動する「スイッチ」の役目をする「NEMO(ニモ)」というらせん状の細長いタンパク質の機能を、構造生物学的および生化学的手法を用いて解き明かしました。
 
ラヒギさんらの研究グループにより、NEMOがスイッチの役目を担うために必須である小さな目印タンパク質ユビキチンが、これまでに知られているつながり方とは違う「直鎖型」であることが明らかになりました。これは、生命に普遍的に存在するユビキチンワールドを拡げる一歩ともなるべきものです。放射光を用いて明らかにした立体構造からは、直鎖型ポリユビキチンの結合によりNEMOの構造変化が引き起こされていることが明瞭に示されています。
 
NF-κBは、免疫系だけでなく、細胞のがん化にも深く関わっているため、創薬のターゲットとして非常に注目されています。この研究成果によって抗炎症剤・抗がん剤などの創薬や、免疫反応の活性制御を応用した治療法などへの発展が期待されます。
 
 
  関連サイト: 放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)のwebページ
http://pfwww.kek.jp/indexj.html
長倉研究奨励賞・総研大研究賞のwebページ
http://www.soken.ac.jp/education/prize/nagakura.html
 
  関連記事: ・09.03.20(プレス記事)
 らせんタンパクに目印タンパクが結合するしくみを初めて解明
・09.03.26(News@KEK記事)
 免疫のスイッチNEMO 〜目印は直鎖型ユビキチン〜
 
 

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