2011年6月20日
6月7日(火)後田裕KEK准教授が東京工業大学大岡山キャンパスで行われた物理学科学生対象の量子物理学・ナノサイエンス第40回セミナーで特別講師を務めました。このセミナーは、東京工業大学主催のセミナーですが、本年より開始された「SuperKEKB/Belle II 国内巡業セミナー」の第1回としても位置付けられています。KEK素粒子原子核研究所 Belle II および SuperKEKB 加速器グループでは「SuperKEKB/Belle II 国内巡業セミナー」を開始しました。 このセミナーは、SuperKEKBに関わっているKEKの研究者が全国の大学や研究所でSuperKEKB加速器とBelle II 測定器に関する講演を行い、若手研究者らの興味関心を喚起し、理解を深めてもらうことを目的としています。
後田氏は「SuperKEKB/Belle II 計画の現状と展望」と題し、SuperKEKBの前身にあたるKEK B−factoryで行われた、CP対称性の破れの検証をはじめとしたB中間子に関わる物理を解説した後、Belle II で目指す新しい物理について解説しました。さらに、ビームバックグラウンドの対策や、Belle II 測定器で新しく導入されるDEPFETと呼ばれるピクセル型シリコン検出器の仕組みとデータの読み出し方法など、Belle II の現在の準備状況を説明しました。このように、KEK B-factoryでの物理の話をきっかけに、SuperKEKBとして現在進行中の加速器や測定器の高度化に関する話となりました。
参加した学生からは「B-factoryの物理を詳しく聞くことができて非常に勉強になりました」「検出器を薄く作るよう気を使っており、新鮮に感じました」などのコメントがありました。後田氏はKEKB加速器の有限角度衝突方式での成功を例として挙げ「駄目かもしれないと思われている理由が、きちんとした根拠に基づくものかを見極めることで、新しい研究の道筋が開けることもあります」と述べ、学生の今後に期待を寄せました。