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   image 科学の現場を体験    2004.1.29
 
〜 水沢市内中学生体験研修 〜
 
1月のはじめ、岩手県水沢市内の中学校から9人の中学生が筑波研究学園都市を訪れました。9人はKEKや宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国土地理院などを訪れ、科学研究の現場で実際の研究者と交流を重ねる体験をしました。KEKでの体験研修の様子をご紹介しましょう。

2日間の体験研修

この体験研修プログラムは、水沢市教育委員会からの熱心なご要望により実現したものです。水沢市内の3つの中学校から選抜された9人の生徒があらかじめインターネットなどを活用して訪問先の研究機関を事前学習し、受け入れ側の研究機関が施設の見学や体験学習、講義などを行いました。

KEKではBelle測定器やBファクトリー加速器、K2K実験のニュートリノ前置検出器、放射光実験施設などを見学した後、放射線科学センターで一人ひとりが霧箱を組み立て、暗闇の中に浮かび上がる放射性同位元素からの放射線を観察しました。先生方も夢中になって放射線を観察していました。

翌日には、KEKで研究を続けている3人の外国人研究者から、なぜ今の研究を続けているのか、どのようにして研究者になったのか、などの講義を受けた後、KEKでの2日間の体験研修で学んだことを発表しました。

科学の研究で大事なこと

米国バーモント州からKEKに来て、Bファクトリー加速器で働くジョン・フラナガン氏は、KEKでの自分の仕事について説明した後、「子供の頃から科学や技術は好きでした。高校1年の夏、どうやったらサイクロトロンを作れるか、図書館で調べて設計した。その時はお金がたくさんかかることが分かって諦めた。その後、大学で物理と天文学を勉強し、その後、人工衛星を作って物理の大学院に進みました。その後、やっと本物の加速器を作る仕事につくことができました。KEKのBファクトリーは世界で一番強度の強い加速器なのでいいチャンスだと思っています。」と語りました。

KEKの放射光施設で働く英国人のジェームズ・ハリーズ氏は、大学院生の時に放射光を使った研究を国際会議で発表してKEKの研究者に「日本に来て研究を続けないか」と誘われたのが来日のきっかけだったそうです。会議での発表が国境を越えた研究活動に結びついた例ですね。

ミャンマー出身でタイの大学院で学んだスースー・ウィン氏はバイオテクノロジーの研究からタイの放射光施設に就職し、加速器を動かす人がいなかったので電子ビームを制御するために加速器物理の勉強を始め、加速器研究者になることを決めたのだそうです。その後、加速器をもっと学ぶために現在、KEKに滞在しています。スースー・ウィン氏はKEKの研究者と一緒に電子と陽電子のビームが不安定になる様子を詳しく研究し、Bファクトリー加速器が世界一のビーム強度を達成するひとつのきっかけとなりました。スースー・ウィン氏は「世界に眼を向けて旅をしましょう。旅は修行です。」と語りました。

知的好奇心と感動の輪

最後に2日間の研修の感想を発表してもらいました。「身近な材料で霧箱を作ることができたので驚きました。このように放射線を見たのは初めてだったので、とても楽しく観察をすることができました。これからは私たちが身近なもので身近な放射線を観察することができる、この霧箱をたくさんの人に伝え、この楽しさや驚きを多くの人に感じてもらいたいと思います。」などの多くの感想があり、盛りだくさんの内容から多くのことを感じ取っていただいたことに研修を行った職員も感激しました。

KEKではこれからも「幅広くいろいろなものを見て、つきつめて考える、自分からいろいろと吸収する」という科学との出会いの機会を増やしていきたいと考えています。

体験研修に参加した生徒の感想文



※もっと詳しい情報をお知りになりたい方へ

→放射線科学センターのwebページ
  http://rcwww.kek.jp/
→キッズサイエンティスト:研究者にインタビューのwebページ
  www.kek.jp/kids/interview/index.html

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Bファクトリー加速器の説明を受ける生徒たち。説明は吉岡正和教授。
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250km離れた神岡にニュートリノビームを打ち込むK2K実験の前置検出器を見学
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「高校生の頃、自分で加速器を作ってみたかった」と語るフラナガン博士
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「国際学会での発表が日本に来るきっかけとなった」と語るハリーズ博士
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「世界に眼を向けて旅をしましょう」と語るウィン博士
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[写真6] [写真7] [写真8]
霧箱の説明を受ける生徒たち。説明は桝本和義助教授。 霧箱で放射線の観察 Bファクトリー加速器のトンネルの中で
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