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つくばの外国人をサポート 2005.1.27 |
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〜 TINの会に総務大臣賞 〜 |
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国際的な研究機関が数多く集まる茨城県つくば市では世界129ヶ国から7千人ほどの外国人研究者とその家族が生活しています。KEKにもBelle実験グループをはじめとするたくさんの国際協力実験グループがあり、外国人研究者の生活をサポートすることはKEKの非常に重要な活動の一つです。KEKの大須賀鬨雄氏らが中心となって設立したつくば市の外国人研究者支援ネットワーク「TINの会」が総務大臣賞を26日に受賞したニュースについてお伝えしましょう(図1)。 TINの会とは 外国人が日本に来て生活するには、日常の食事や買い物、交通機関の利用、子どもの学校や病院・銀行の利用など、いろいろな場面で言葉が通じないことからくる不便が生じます。東京のような大都会では看板や標識の国際化が進んでいたり、英会話のできる日本人の割合も多いのですが、都会を一歩離れると、外国人にとって日本は暮らしやすい国とはまだまだ言い難いのが実情です。 30数年前に筑波研究学園都市が建設された当初から、それぞれの研究機関では多くの外国人研究者を受入れてきましたが、相互の連携は無く、それぞれが苦労して対応に追われていました。当時は市町村や茨城県などが一体となって外国人受入れに取り組むための組織もありませんでした。その結果、外国人は所属の研究所を一歩出るといろいろな問題に直面し、各研究所で外国人対応をしている人たちが大変な苦労をしていました。 「せめて外国人向けのガイドブックくらいは分担して共通に制作しよう、できればそれ以外の問題も一緒になって解決していこう」という声が高まり、各研究機関の外国人受入れ担当者の集まりとして発足したのが「TINの会(Tsukuba International Network)」でした。今から7年前のことです。創始したのは当時工業技術院の小松泰彦氏とKEK研究交流推進室長の大須賀鬨雄(トキオ・ケネス・オオスカ)氏でした(図2)。 このTINの会には、つくば市の参加を皮切りに県や法人等の組織、商工会や各種団体も参入し、組織間の連携の場所を提供することになりました。そこで話し合われた問題点や解決策をメンバーがそれぞれの所属組織に持ち帰り、組織で対応できる問題は解決し、団体で交渉すべきものはメンバーが一緒になって動きました(図3)。 外国のクレジットカードが使えない! TINの会の活動の主旨は外国からやって来た人々が自力で街を出歩いたり生活することができるように、地域の国際化を推進することです。 例えばバスに乗りたいと思っても、行き先表示が日本語のままでは、どのバスに乗ったらよいのかがわかりません。バス会社と何度も粘り強く交渉して、バスの前面に路線番号を表示してもらうようにしました(図4)。またバスの路線図を系統番号入りで製作し、外国人に配ったりしています(図5)。 外国人にとっては煩雑な入国管理の手続きもつくばでおこなうことができるような出張所の設置の請願などもおこなってきました。 日本人である私たちが海外旅行に出かける時、国内で発行されたクレジットカードは現地のレストランや銀行などでごく普通に使うことができます。ところが外国の銀行で発行されたクレジットカードは日本のほとんどの銀行のATMで使うことができません! この現状についても銀行へ改善の働きかけをしています。 病院や救急隊、警察の外国人対応についてもいろいろな提案をしてきました。保健所に勤務するメンバーの積極的な推進のおかげで、医療関係の外国人対応は少しずつ改善されてきています。外国人医療に関するアドバイサーとしても寄与してきました。 英語で話そう 「国際都市つくばの共生教育を考えるワークショップ」では、外国人の子どもの支援という観点にとどまらず、日本の初等教育が国際的に通じるものになれば、外国人も安心できるし日本の将来にとって望ましいのではないか?という観点で2回実施しました(図6)。 英語に親しみを持つ市民が増えることを願って、中学生以上を対象とした「英語で面白い話を聞く会」も始めました。NHK科学解説委員の高柳雄一氏、宇宙飛行士の毛利衛氏、ノーベル物理学賞受賞のジェローム・フリードマン氏らがお話してくださいました。また、国際化の大切さについての講演もつくば市内外でおこなってきました(図7)。 評価された「地域づくり」 TINの会が総務大臣賞の対象となったのは「地域の個性豊かな発想を活かし、住民を始めとして様々な主体が取り組む魅力あふれる地域づくりを積極的に推進し、顕著な功績のあった市区町村および地域づくり団体」です。また一昨年には茨城県の国際交流奨励賞も受賞しています。 大須賀氏は「いままで市長はじめいろいろな方面の要人にもご協力をいただくことができてきたのは国、県、市、商工会、ボランティア団体などの既存の枠を取り外した連絡機構を作り上げたことが大きいと思います。我々のいろいろな要望をつくば市も真剣に受け止め、実現させてくれました。会で議論してきた、非常時の多言語対応も検討が始まりましたし、バイリンガルのウェブ情報も充実してきました。陳情したり苦情を言ったりというスタイルでなく、ボランティアが市や県と一緒になって改善を進めていく縦割りのない構造の大切さを実感しています。いろいろな新聞社もTINの会の催し物等について積極的に広報をしてくださってきたのも大きな力になりました。」と受賞の喜びを語っています。
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