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研究者の「生の声」 2007.4.26 |
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〜 J-PARCハドロンホールユーザー会 設立 〜 |
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世界最高強度の陽子ビームを発生できる大強度陽子加速器施設「J-PARC」では、陽子ビームから作られるK中間子やパイ中間子などの様々な二次粒子もまた世界最高の強度で得られます。これらの二次粒子を利用した野心的な実験の計画が国内外の研究者によって考案されていますが、たくさんの研究グループが実験施設をどのようにして共同で利用していくか、などの情報交換を目的とした「ユーザー会」が設立されました。 複数の実験グループ KEKと日本原子力研究開発機構(JAEA)が共同で建設を進めているJ-PARCには、リニアック(線形加速器)、3GeVシンクロトロン、50GeVシンクロトロンの3つの加速器があります。これらの加速器によって加速された陽子ビームは、それぞれ、物質・生命科学実験施設、ハドロン実験施設(ハドロンホール)、ニュートリノ実験施設に導かれ、実験に利用されます。今回「ユーザー会」が設立されたのは、このうちのハドロン実験施設での実験を考えている研究者のグループです。 ハドロン実験施設はニュートリノ実験施設と同様に、50GeVシンクロトロンで加速された陽子ビームを利用する実験施設です。この施設では、陽子ビームによって、K中間子やπ中間子など、種々の二次粒子ビームを作り出して、原子核物理や素粒子物理の実験が行われます。ニュートリノ振動実験では1つの大きな(数百人規模の)実験グループが組織されて、準備が進められていますが、ハドロン実験施設では、いくつもの小さな(それでも数十人規模ですが)実験グループが組織され、準備が進められています。今年1月に第2回の会合が開かれた原子核素粒子実験審査委員会では、これまで6つの実験についてゴーサインが出されているほか、多くの実験が審査途上にあります。 実験グループの「生の声」 このようにハドロン実験施設では種々の実験が準備されているわけですが、研究分野と実験グループの数が多いために、実験にたずさわる日本のみならず世界中の研究者の様々な「生の声」が伝わりにくいということもあります。そこで、ハドロン実験施設のユーザーから「ユーザーの総意を形成できるような会を結成したい」との声が、自然に沸き起こってきました。何人かの有志で「設立準備会」を作り準備が進められ、2007年3月25日に、東京都八王子市の首都大学東京で開かれた日本物理学会の分科会に際して、「J-PARC ハドロンホールユーザー会」(略称HUA)の設立総会が行われました。 HUAの目的は、「ハドロンホールにおけるユーザーが、相互の交流をはかるとともに、各々の研究分野の相違を越えてボトムアップに総意を形成することにより、より良い研究を推進」することで、会員相互の情報交換やユーザーの総意の取りまとめを行います。また、ユーザーや関連分野の研究者、及び一般に向けた情報発信も行います。 利用者と実験施設が協力 ハドロンホールで最初に行う実験のひとつを準備中の東北大学・田村裕和教授は、「ハドロンホールユーザー会の設立は、今後私達がハドロンホールでの実験研究を進めていく上で、重要なステップです。J-PARCのような実験施設での研究においては、ユーザーからのボトムアップによる自由な提案が重要であり、そのために、ユーザー相互の情報交換や議論はきわめて大切です。今回、そのような場が立ち上がったことになります。この会ができたことで、私達を含めハドロンホールで研究を行う研究者は、実験の準備や立案をより効率よく活発に進められるようになります。」と語っています。 また、永宮正治J-PARCセンター長は、「ユーザーによって、このような自主的な会が立ち上がったというのは、すばらしいことです。J-PARCセンターでは、今年4月からユーザーズオフィスを設置し、ユーザーを受け入れる体制の整備を急いでいるところです。ユーザー会や利用者協議会を通じてユーザーの生の声を聞かせていただきたいし、ユーザーによってよりよい実験成果が得られるよう、共に協力していきたいと思っています。」と述べています。 ハドロンホールは、2007年6月に土木建築工事が完了し、ビームラインや実験装置の本格的な整備が始まります。実験グループは、2008年12月の初ビームを念頭において鋭意実験準備を進めているところです。ハドロンホールユーザー会の活発な活動が、そこでのよりよい研究成果に繋がることが期待されています。
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