K2K(KEK-神岡間)長基線ニュートリノ振動実験


素粒子原子核研究所
 K2K 実験グループ
    助教授 作田誠

ビデオインタビュービデオインタビュー


素粒子の標準模型とニュートリノの質量:
素粒子現象は、1970年代に確立した標準模型で全て説明されています。この30年間、その標準模型に矛盾する確固たる実験事実はありませんでした。標準模型においては、物質の基本粒子はレプトンとクォーク、それらの間の力の媒介をするゲージ粒子、及び質量の源であるヒッグス粒子です。レプトンには、電子、ミュー粒子、タウ粒子とそのペアの電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの合計6種類があります。標準模型は現存の実験事実を説明するものの、多くの不満な点があると一般に認識されており、標準模型においては、ニュートリノの質量は0と仮定されています。現在の素粒子像「標準模型」

この実験の意義と世界の状況:
 世界の素粒子実験に於いて、標準模型に矛盾する現象は今のところ、1998年6月に発表 されたスーパーカミオカンデ実験の「大気ニュートリノ」の結果のみです。標準模型の枠を越えるニュートリノの質量を世界に先駆けて精密に測定する今回の 「つくば-神岡間ニュートリノ振動実験」には、全世界からの大きな期待がかけられています。 アメリカの国立フェルミ加速器研究所では、2003年に同様な実験が始まる予定ですが、 私達の今回の実験でニュートリノ振動が確立すれば素粒子物理学のみならず宇宙物理に 与える影響は計り知れません。

K2K(KEK-神岡間)長基線ニュートリノ振動実験では、 1999年6月19日(土)午後6時42分(日本標準時間)に、スーパーカミオカンデ において最初のニュートリノ事象を観測しました。 今後、たくさんのデータを集め、世界にさきがけて「ニュートリノ振動」を確立したいと 考えております。このコーナーでも、順次ニュースを流していきたいと思っていますので ご期待下さい。