中性子回折法による新型電池の研究


新型電池開発の需要

 現在、携帯電話やノートパソコンなどには主に充電可能なリチウムイオン電池が使われています。5年あまり前に登場したばかりのリチウムイオン電池が携帯機器の急速な普及を陰で支えてきました。
この電池には、電圧が高い、小型・軽量化しやすいというメリットがあり、ますます高度化・多様化する携帯機器を支えながらいっそう需要が伸びていくと考えられています。

また21世紀初頭には人の生活を助ける家庭用ロボットが実用化すると考えられていますが、そのためにはこれまで以上の高エネルギー密度の電池が不可欠です。電源ケーブル付きのロボットでは大変不便でしょう?
電源ケーブル付きのロボットでは大変不便でしょう?

 一方、実用化を目指して開発が進められている燃料電池は、リチウムイオン電池とともに家庭用・自動車用大型電源として21世紀初頭に急速な発展が期待されています。例えば、ハイブリッド車・電気自動車は地球温暖化問題の解決の切り札です。また僻地(へきち)や発展途上地域に発電所として設置すれば、送電線が不要ですので低コストで環境負荷を最低限に押さえつつその地域を発展に導けます。

 
どのような電池が求められているのか

■充電可能な電池
 このような電池を二次電池といい、それに対し、充電できない電池を一次電池といいます。マンガン電池や普通のアルカリ電池などは一次電池であり、ニッケル水素電池やニッカド電池などは二次電池です。

■軽くて(Wh/ kgが大きい)、小さい(Wh/ lが大きい)電池(図4)
 または高パワー密度(短時間の出力が大きいこと)を持つ電池



 図は右側にいくほど単位体積あたりのエネルギーが大きく(したがって小さくできる)、上側にいくほど単位重量あたりのエネルギーが大きい(したがって軽くできる)電池です。二次電池は充電できる点で一次電池よりまさっています。

■超小型でいろいろな形状をとれる電池

■高エネルギー密度(長持ちすること)

自動車では走り初めには高パワー密度の電池が、走行時には高エネルギー密度の電池が必要です。一種の電池で不可能な場合は二種の電池を組み合わせます。

■環境に優しく、リサイクル性の高い電池

従来用いられてきたニッカド電池にかわってニッケル水素電池が用いられ始めています。

■なにはともあれすべての電池は安全でなくてはならない