計算科学センター
助手 橋本省二
スーパーコンピュータを用いた
QCDのシミュレーション
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陽子や中性子、それに中間子などのハドロンと呼ばれる(素)粒子 は、さらに小さなクォークとグルーオンという素粒子からできていることが知られています。それらを結び付ける力のことを「強い相互作用」といいますが、これを表わす理論もすでに確立されていま す。これが量子色力学(QCD:Quantum Chromodynamics)です。
それでは、なぜすでに確立された理論を調べるためにスーパーコンピュータが必要になるのでしょうか。それは、離れれば離れるほど強く力が働くという「強い相互作用」の特殊性のせいです。「電磁気力」のように、もともと力が弱い、また遠方で相互作用が弱くなるような場合には、力が弱いときに有効になる近似の方法が使えます。ところが「強い相互作用」ではこれが役に立たなくなるのです。おかげで、QCDという理論があるにもかかわらず、陽子や中性子の質量や中間子の崩壊確率のような基本的な量についてすら、 満足な予言をすることができませんでした。そして、ここがスーパーコンピュータの出番なのです。
別のページで説明するように、スーパーコンピュータを使えば、近似を使わないQCDのシミュレーションが可能になります。今回、新たに導入した「SR8000」によって、クォークとグルーオン、そしてそれらから作られるハドロンの様々な性質を予言できるようになると期待しています。 特に、B中間子の崩壊の仕方を予言することは、Bファクトリーで進められている実験にとっても大きな意味を持つことになるでしょう。
関連ページ Bファクトリー
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