物理への自信をくじかれ、それが学習意欲を高めてくれた
サマーチャレンジに参加したときは、横浜国立大学の物理工学EPに所属していました。学部2年生のときです。大学の先生から参加を勧めていただいたことがきっかけでした。2年生での応募は少し早いかとも思ったのですが、応募すれば必ず通るというものでもなく、チャレンジする回数は多ければ多いほど良いと考え、全身全霊の志願書を書いて応募しました。
演習では立教大学の村田次郎先生の「万有引力の逆二乗則の破れの検証」に関する実験に参加しました。講義を担当してくださった先生はもちろん、指導していただいたTAの方からも(ご本人たちは覚えていらっしゃらないかもしれませんが)いろいろと褒めていただき、大きな自信につながりました。
「同世代の中では、物理への理解は結構先んじているはず」という自信も、今考えれば恥ずかしくて顔から火が出るような幻想で、周りの優秀な参加者の方々に打ち砕かれてしまいました。おかげで、その後の学習意欲が大きく高まり、それが今の仕事(科学教育)につながっています。こうした同世代でトップクラスの能力を持つ参加者たちとの交流は、今につながる良い思い出です。
大学院では、2015年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻に進み、修士課程を修了しました。総合文化研究科を選んだのは、当時興味のあった「非平衡統計力学」の研究でトップを走っている先生が在籍されていたためでした。サマーチャレンジなど学外のイベントに参加して学んだこと、経験したことから、専攻を変えることにためらいはありませんでした。
事業の立ち上げにサマチャレの先輩たちが尽力
現在、YouTubeで予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」というチャンネルの講師・運営をしています。大学生向けの数学・物理の授業を始めたのは、「分かった」という実感を通して、科学を学ぶ楽しさを伝えたいという思いがあるからです。大学の講義では時間やカリキュラムの制約もあり、一人一人が本質的に納得するまで学ぶことが難しいこともあります。その部分を補い、「難しい」ではなく「面白い」と感じてもらえるきっかけを作れたらと考えて、このチャンネルを開きました。活動初期には、サマーチャレンジで出会った先輩方のお力添えで大学での撮影が可能になるなど、たいへん助けていただきました。
学生生活を幾度となく振り返るのですが、あの夏は人生を大きく変えてくれた夏休みだったと思っています。科学が好きな人同士が集まり、互いに刺激を受けながら視野を広げられる貴重な機会でした。私も立場こそ異なりますが、科学の面白さを伝え、これから研究や科学の世界へ進む人たちを応援したいという点では、サマチャレに関わる先生方や先輩方と共通する思いを持って活動しているつもりです。そのような形で、サマチャレとのつながりを今も身近に感じています。