BELLE実験とKEKB加速器
[BELLE Experiment & KEKB Accelerator]

  

Bファクトリー実験がめざすもの

「この宇宙にはなぜ反物質の世界が存在しないのだろう? なぜ物質と反物質との 均衡がとれていないのだろう?」 この疑問を解き明かす鍵が「CP対称性の破れ」と 呼ばれるものです。このCP対称性の破れは、物質を形作る クォークが互に混じり合う ことに起因していると理論的に予測されています。KEKでは、この クォークの混合に ついて詳細に調べ、CP対称性の破れの研究を行う計画が1994年より開始されました。 それが、KEKB計画です。この実験は、電子と陽電子を衝突させることによって、ボト ムクォークと軽いクォークの結合状態であるB中間子を大量に発生させ、その崩壊過 程を調べることによって、粒子と反粒子 の反応の微少な違いを明らかにし、CP対称性 の破れについての決定的な知見を得、更に 素粒子の相互作用の本質に迫ろうとするも のです。

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▲ コンピューターシミュレーションによるBELLE検出器で観測されるB中間子の崩壊 事象。中央飛跡測定器の電子信号(●印)から発生した粒子の飛跡を求め、運動量を 割り出します

BELLE検出器とは

この実験には、B中間子の崩壊を測定するためにBELLE(ベル:フランス語で 「美しい」の意)と呼ぶ大型検出器が設置されます。BELLEはB中間子の崩壊から発生 する粒子の情報をできるだけ精度良く観測できる高性能な検出器でなければなりませ ん。実際に、トリスタンで使われた検出器比べ、発生した粒子の同定、運動量やエネ ルギーの測定を高精度で行えるような能力をもっ た検出器とデータを高効率で収集し 解析できるコンピューターが必要です。BELLE実験のために、8ヶ国200人以上の研究 者によって国際協力グループが編成され、素粒子実験の最先端を行く技術を次々と導 入し、検出器建設が精力的に進められています。

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▲ 高さ10m幅7mの大型検出器BELLEの完成予想図。1998年の完成めざして建設が進行 中です。

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▲ KEKで開発されたシリカエアロジェル。BELLE検出器に粒子識別装置の一部として 使用されます。

【見どころ】[Things to See]

KEKB加速器とは

KEKB(Bファクトリー)加速器は、衝突する電子陽電子のエネルギーが異なる非対 称衝突型加速器であるという特徴を持ち、B中間子を大量に効率良く発生させること を目指しています。
KEKB加速器は、80億電子ボルトの電子蓄積リング(HER)と35億電子ボルトの陽電子 蓄積リング(LER)、及び電子・陽電子線形加速器とから構成されます。電子リングと 陽電子リングは、1995年まで稼働していた衝突リング・トリスタンを設置していた トンネルに設置されます。2つのリングは筑波実験室でのみ交差し、そこで電子・陽 電子衝突を起こします。現在25億電子ボルトの線形加速器はKEKBに向けてエネルギー と陽電子数の増強がなされ、80億電子ボルトの電子と35億電子ボルトの陽電子をKEKB リングへ直接入射できるようになります。

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▲ KEKB加速器の概要

1998年の完成を目標に、KEKB加速器の機器の設計や製作が現在行なわれています。 また加速空洞、ビームを安定に蓄積するためのビーム・フィードバック制御系、衝突 点近傍の特殊電磁石等の一部の機器については性能を上げるための開発研究も進めら れています。

【見どころ】[Things to See]

Figure 2
▲筑波-日光実験室間トンネル:この区間では電子リング(HER)が内側に、陽電子 リング(LER)が外側に設置されます。

Bファクトリー高周波実験棟
[RF Experimental Hall]

KEKB(Bファクトリー)加速器では、大量の中間子を発生させるために、大強度多 バンチのビームを安定に蓄積する必要があります。通常の加速空洞を用いたのでは KEKBのビームが不安定になり蓄積できないと予想されるため、新しい工夫を凝らした 空洞の開発研究が進められています。ARESと呼ばれる常伝導空洞と、超電導空洞の 2種類の加速空洞の開発が平行して行なわれています。

【見どころ】[Things to See]

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▲ 常伝導加速空洞:ARES

Figure 4
▲ 超伝導加速空洞


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