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last update:10/01/29  
 過去の研究活動
  K2K(長基線ニュートリノ振動実験)
 
素粒子現象は、1970年代に確立した標準模型で全て説明されてきました。標準模型に現れる素粒子には、物質の基本粒子であるレプトンとクォーク、それらの間の力を媒介するゲージ粒子、及び質量の源であるヒッグス粒子があります。レプトンには、電気をもった電子、ミュー粒子、タウ粒子と電気をもたない電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの合計6種類があります。クォークにも、u、d、c、s、t、bの6種類があります。標準模型では、ニュートリノの質量はゼロと仮定されています。

この30年間、標準模型に矛盾する実験事実はありませんでしたが、素粒子物理学者の間では、多くの不満な点があると認識されています。そこに、1998年、スーパーカミオカンデ実験により、ニュートリノが質量を持つ証拠が発表されました。これは、物理学だけでなく、天文学の分野にも大きな衝撃を与えました。

ニュートリノは性質に不明なところの多い粒子です。それは、ニュートリノが物質と反応しにくく、性質を調べようにも捕らえ所がないからです。これからは、「なぜニュートリノの質量は極端に小さいのか、その質量はどのくらいの大きさを持っているのか」という謎をぜひ解明する必要があります。

最終的にニュートリノ質量の謎に迫るためには、人工的にニュートリノを発生させ、ニュートリノ振動をより精度良く追試することが必要です。人工的に発生させたニュートリノビームは、自然の大気ニュートリノより素性がはっきりしている上、発生直後にその性質を調べることができるので、実験結果への不定性が少ないからです。

高エネルギー加速器研究機構では、加速器を使ってミューニュートリノビームを発生させ、250km離れたスーパーカミオカンデで観測して、ニュートリノ振動が起こっているかどうかを検証する実験を1999年から2004年にかけて行いました。

実験の方法は、ニュートリノ発生地点から300mの地点におかれた前置検出器で、作られたばかりのニュートリノの数とエネルギー分布などを正確に測定します。これをスーパーカミオカンデにおける測定と比較することにより、ニュートリノが250km飛行する間にどのように変化したかを調べます。250kmの間のニュートリノ変化からニュートリノ振動を検証しました。ニュートリノビームの強度を高めてさらに詳しい検証を行なうT2K実験を茨城県東海村に建設中のJ-PARC加速器を用いて2009年から行なう予定です。

K2Kは KEK-to-Kamiokande の略で、つくば−神岡間長基線ニュートリノ振動実験の愛称として世界中で広く知られています。
つくば〜神岡間長基線ニュートリノ振動実験
つくば〜神岡間長基線ニュートリノ振動実験
[拡大図(48KB)]
 
ニュートリノビームライン
ニュートリノビームライン
[拡大図(48KB)]
 
前置検出器の構成
前置検出器の構成。
[拡大図(21KB)]
 

 
K2K実験のwebページ(研究者向け情報も含まれています)
 
 

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