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量子測定理論の数学的定式化・量子論と 確率の諸解釈 (日本語 / Japanese)

  • PLACE Kenkyu Honkan 3F Seminar Room ​(321,322)​

量子測定理論は,素朴な「波束の収縮」仮説に訴えることなく,量子系の測定に おける確率と状態変化を記述する理論である.このセミナーでは、 量子測定理 論の基本概念である POVM (probability-operator valued measure), CP map (completely positive map), instrument と,間接測定モデル表現を解説する. また,量子論の解釈に関しては諸説あるが,波動関数の確率解釈を言うにして も,確率自体の解釈に関しても諸説ある.確 率の解釈を吟味しないことには, 量子論の解釈を分析することもできないと思われるので,確率の解釈に関する議 論を整理したいと思う.ちなみ に,私は,波動関数や状態ベクトルやヒルベル ト空間は,ミクロ系の内に宿った実体のようなものと捉えるべきではなく,ミク ロ系とマクロ系の間 の橋渡し・窓口のようなものとみなすのがよいと考えてい る.そういう意味で,代数的量子論におけるヒルベルト空間のGNS構成が適切な 数理だ と考えている.

(References)

[1] M. Ozawa, “Uncertainty relations for noise and disturbance in generalized quantum measurements”, Ann. Phys. 311: 350-416 (2004). http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003491604000089
[2] 小澤正直「量子測定理論入門」(第56回物性若手夏の学校(2011年度) 講義 ノート),物性研究 97巻 1031-1057 (2012). http://ci.nii.ac.jp/naid/110009327893
[3] D. ギリース(中山智香子 訳)「確率の哲学理論」日本経済評論社 (2004).
[4] 松原 望「入門ベイズ統計 : 意思決定の理論と発展」東京図書 (2008).
[5] 谷村省吾「21世紀の量子論入門」 第15回:観測問題の基本概念(「理系への数学」(現代数学社)2011年7月号 pp.56-61), 第16回:測定における確率則と遷移則(「理系への数学」(現代数学社)2011年 8月号pp.56-61).
[6] 谷村省吾「波動関数は実在するか ― 物質的存在ではない.二つの世界をつ なぐ窓口である」 数理科学2013年12月号 14-21. http://www.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/paper/mathsci2013.pdf
[7] 谷村省吾「量子力学 ― 歴史・骨子・展開,そして基礎付け」 数理科学2015 年2月号 26-32.


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