超高エネルギーの電子・陽電子の衝突型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」で行われる実験が解き明かす素粒子物理の研究と、そのための測定器の研究開発を行います。
超高エネルギーの電子・陽電子の衝突型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」で行われる実験が解き明かす素粒子物理の研究と、そのための測定器の研究開発を行います。
素粒子の質量の起源となるヒッグス機構やダークマターの正体の解明を始めとして、多くの素粒子物理学の未解決問題を解き明かすために、超高エネルギーの電子・陽電子の衝突実験を行う線形衝突型加速器である国際リニアコライダー(International Linear Collider:ILC)が計画されています。ILCが挑む多くの素粒子物理学のテーマについて、ILCがどこまで詳しく説き明かすことができるかをシミュレーションを用いて明らかにしようとしています。またILC実験のための最先端測定器の研究開発もおこなっており、その成果は他の素粒子物理学実験はもとより、物性や天文学分野への応用も開ける可能性があります。
ILC 計画は電子・陽電子リニアーコライダーで1兆電子ボルト(TeV)エネルギー領域の素粒子実験を行うことを目的とした計画です。電子と陽電子を高エネルギーで衝突させ、宇宙のビッグバン直後に匹敵する超高エネルギー状態を実験室に実現し、素粒子の基本法則の解明を通じて、宇宙創成の謎に挑みます。高エネルギーの電子・陽電子衝突に伴う素粒子反応によって生成された粒子群は衝突点から四方に飛び散って行きます。これらの粒子の方向やエネルギーなどを精度良く測定することで、どのような素粒子反応が起こったかを知ることができます。そのためには非常に高精度でかつ巨大な測定器が必要となります。ILCではSiDとILDという2種類の大型測定器が提案されており、それぞれ世界中の多くの研究者によって設計の最適化や、必要となる技術開発が進められ、詳細設計書の完成を目指しています。KEKではこれらのうちのILD測定器の設計グループに加わっており、ILD測定器を用いた素粒子反応のシミュレーションによる研究や、ILD測定器を構成する要素の中のTPC(Time Projection Chamber)と呼ばれる荷電粒子の飛跡検出器ならびに高精細画素CCDを用いた粒子の崩壊点を決定するための超高分解能飛跡検出器の研究開発を行っています。
SiD測定器とILD測定器