所長挨拶

新年度のご挨拶

新年度を迎えました。素核研は、令和7年度も、機構内の連携はもとより国内外のコミュニティとの連携を加速して、研究協力を推進していきます。

 

年度初めの4月6日(日本時間)にブレークスルー財団が主催する自然科学の国際的な学術賞「ブレークスルー賞」が発表され、基礎物理学部門で、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で行われている四つの国際共同実験ALICE、ATLAS、CMS、LHCbが受賞し、我々の研究分野のactivitiesの高さが改めて評価されました。
本年は、量子力学の基本概念の発見から100年を記念する「国際量子科学技術年(IYQ)」にあたり、私たちが科学の原点に立ち返る機会となります。100年前、物理学は一見すると完成された学問体系のように映る一方で、黒体放射や原子構造といった未解決の問題が、新たな地平の開拓を求めていました。そうした時代に、既存の枠組みに挑み続けた先人たちの姿勢には、今も深い示唆があります。

 

素核研は、現行実験からの成果創出、将来を見据えた研究提案の育成、そして社会との対話という三つの柱を基軸に、今年度も研究の最前線に挑戦し続けます。国内外の研究コミュニティとの連携をさらに強化し、機構内の協力体制も深めながら、多様な視点を取り入れた研究活動を推進してまいります。

これらの取り組みを通じて、私たちは宇宙と物質の起源に対する理解を着実に深め、やがては新たな自然観・世界観の構築へとつなげていきたいと考えています。

今後とも、皆様のご支援とご指導を賜りたく、お願い申し上げます。

 

令和7年5月吉日
素粒子原子核研究所 所長
齊藤 直人

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