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ようこそ素核研へ 清水志真さん着任インタビュー
2022年12月22日
2022年12月から、エネルギーフロンティアグループに、清水 志真(しま)さんが助教として着任しました。素粒子物理学の分野に進むきっかけ、これまでの研究や今後KEKでどのような研究をしていきたいのかお聞きしました。
素粒子物理の分野に進むきっかけは?
もともと物が何からできているかに興味があり、突き詰めていったら素粒子でした。物理は物事をシンプルに考えることができることが魅力です。
KEKに来る前はどこでどのような研究をしていましたか?
東京大学理学部物理学科を卒業後、同大学院理学系研究科物理学を専攻し、大学院プログラムの枠組みで、量子場計測システム国際拠点(QUP)德宿 克夫特任教授のもとドイツ電子シンクロトロン(DESY)にてHERA実験に参加しました。そこでは、HERAの電子・陽子衝突データから陽子構造の研究を進め、陽子構造関数の測定で博士号を取得しました。博士課程修了後、フランスとスイスの国境に位置する欧州合同原子核研究所(CERN)の日本フェローとしてATLAS実験に参加しました。名古屋大学、神戸大学大学院先端融合研究環に所属していた時期も含めて、ATLAS実験では、おもにジェット生成の測定から、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での陽子散乱過程について、量子色力学(QCD)による記述の精査を行いました。
KEKではどんな研究をしていきたいですか?
KEKではエネルギーフロンティアグループに所属し、再びATLAS実験に関わっています。標準模型では説明できない新物理がきっとあるはずで、世界最高エネルギーのLHCで標準模型のずれを探索したいと思っています。今後LHCではさらに統計量を貯められるので、その統計量を使って、起こる確率の小さい電弱相互作用による散乱を調べていきたいです。散乱の起こる確率を断面積といいますが、例えば断面積を測定して理論予想とのずれがないかを見たいと思います。電弱相互作用はヒッグス機構の関わる相互作用ですし、間接的にヒッグス粒子を探ることになると思います。
現在は子育てをしながら日々研究に励む清水さんから、将来のキャリアパスを考える学生に伝えたいことはありますか?
子育てに専念するため研究から離れていた時期がありましたが、2021年4月に日本学術振興会の特別研究員(RPD)として研究を再開しました。研究の世界で活躍する女性となると、いわゆる「スーパーウーマン」ばかりが目立ってしまいます。最初にそうした女性たちをロールモデルに定めて目指すことは良いと思いますが、必ずしもその通りに自分自身のキャリア設計が出来るわけではありません。人それぞれライフスタイルにバリエーションがあることを知ってもらいたいです。
これからの素核研での活躍に期待しています!
(聞き手:素核研広報コーディネーター 菊池まこ)