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おとなのサイエンスカフェ第2夜、「J-PARCで探る宇宙、物質の謎」開催

8月4日(金)、KEK素粒子原子核研究所(素核研)が主催する、おとなのサイエンスカフェ第2夜「J-PARCで探る宇宙、物質の謎」を開催しました。

素核研では、素粒子、原子核という極微な世界から広大な宇宙までの幅広い分野に対して、理論および実験の両側面から総合的研究を行っており、この世で最も小さい素粒子を研究することでこの世で最も大きい宇宙の謎の解明に挑み続けています。

 

今回のサイエンスカフェでは、小林 隆(こばやし たかし)J-PARCセンター センター長が話し手となりました。J-PARCでは、大強度陽子ビームを使って大量に中性子やミュー粒子、K中間子、ニュートリノなどをつくり、宇宙になぜ物質が存在するのか?といった問題に迫る研究を進めています。

粒子を加速してぶつけることで極微の世界を「見る」話から始まり、宇宙になぜ物質があるのか、その鍵を握る「ニュートリノ」やこれから実験が始まるハイパーカミオカンデなど、最新の研究についてお話しました。また、J-PARC・物質・生命科学実験施設で行っている研究の成果として、ミューオンを使った小惑星リュウグウのサンプル分析の話や緒方洪庵が遺した薬瓶の解明に関する話なども紹介し、参加者にJ-PARCで行う様々な研究を知ってもらう機会となりました。

最後の質問コーナーでは、「重いニュートリノについて教えてほしい」「中性子星と同じ状態を再現できるのか」などの質問のほかに、「ニュートリノと反ニュートリノにどのような性質の違いがあるのか」という質問が寄せられました。
J-PARCで進めるT2K実験では、2013年にミュー型ニュートリノが飛んでいる間に電子型ニュートリノに変化する現象を発見しました。現在は、ミュー型ニュートリノから電子型ニュートリノに変化する割合が、ニュートリノと反ニュートリノで違いがあるか調べています。もし割合が異なれば、ニュートリノと反ニュートリノで性質に違いがあることが分かります。

また、事後アンケートでは、「ニュートリノにかける情熱が伝わった」「ニュートリノビームが神岡に届く頃には相当広がってしまうことが意外だった」「初心者にも分かりやすい説明で楽しかった」「次回も参加します」などの感想をいただきました。

ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

 

おとなのサイエンスカフェは金曜日の夜、大人の特権である美味しいお酒やおつまみを楽しみながら、極微なサイエンスの話を楽しんでいただくことを趣旨に企画したもので、今後もシリーズで開催する予定です。
次回の予告です。

おとなのサイエンスカフェ第3夜「一夜限定!素粒子アラカルト」

次回開催は、9月29日(金)18:30~です。

素粒子の「いろは」を前菜に、素粒子物理と宇宙を織り交ぜ、暗黒物質や余剰次元なども取り入れた素粒子アラカルトを、皆さまの希望を基にお出しします。世界最高エネルギーでの素粒子実験を主導してきた、花垣 和則(はながき かずのり)素核研副所長が皆さまに美味しい話題をご提供します。

8月末より募集受け付けを開始します。募集開始は素核研ウェブサイトやSNSを通じてお知らせします。

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