8月6日(水)から9日(土)の4日間、KEKにおいて「高校生のための素粒子サイエンスキャンプ Belle Plus(ベルプリュス)2014」が開催され、全国各地から21名の高校生が集まりました。
Belle Plusは、高校生を対象とした研究体験型のサイエンスキャンプです。 研究者に直接指導を受けながら素粒子物理学に関する実習や解析を行い、最終的に研究発表を行うもので、実際に研究者が行っている研究活動の流れを体験することができます。 2006年よりBelle実験グループが中心となって実施しており、8回目となる今回はKEKと奈良教育大学との共催で開催しました。
高校生達は、4つの班に分かれて実習を行いました。 「B-Lab(ビーラボ)班」はBelle実験のデータを使い粒子の探索を行いました。 「ワイヤーチェンバー班」はワイヤーチェンバーと呼ばれる粒子検出器を作製し、それを使って放射線源からの放射線や宇宙線を測定しました。 「スパークチェンバー班」は電気を帯びた粒子の軌跡に放電を起こさせて眼で見る装置、スパークチェンバーを使用して宇宙線の天頂角分布の測定を行いました。 また「理論班」はB-Lab班と議論を行い、B-Lab班が得た粒子探索の結果から、対応する素粒子反応の崩壊確率を計算する式を図にした「ファインマンダイアグラム」を使ってどのような反応が起きるのかを予測しました。
1日目の夜には懇親会が催され、奈良教育大学の学生らが考案したミニゲームによって、参加者全員の親睦を深めました。 2日目には、素粒子の基礎に関する講義や、SuperKEKBプロジェクトに向けた高度化を行っている研究施設見学が行われました。 ビームを制御するための電磁石がずらっと並んだSuperKEKB加速器のトンネル内や、高性能化のために改修中のBelle II 測定器を見学しました。 Belle II 測定器の大きさには高校生一同圧倒されていました。 また、その夜には、ニュートリノ物理学の最先端をテーマにしたサイエンス・カフェも行われ、高校生たちは熱心に聞き入っていました。
最終日の研究発表会では、実習班ごとに発表を行いました。 高校生同士が会場で質問をし合ったほか、研究者からの質問にも答えるなど、活発な議論の行われた発表会となりました。 参加した高校生からは、「素粒子について曖昧なところが多かったが、理解が深まり、その情報をもとに自分で考察できるようになった」「物事を深く知りたいと思うようになった」「研究者たちと話し、発表の時に大切なこと、実験時のものの考え方、見方を学ぶことができた」といった感想が寄せられました。 また、高校生同士の議論や交流を通じて、「よい友だちができた」「物理が好きな人は思ったよりたくさんいた」といった感想もありました。 今回の経験や、共に議論した仲間達との繋がりが糧となり、高校生の素粒子物理学に対する興味関心がさらに高まることが期待されます。
Belle Plus 2014 の実習風景
講義風景
素粒子物理学に関する講義。熱心に耳を傾け、しっかりとノートをとる
施設見学
筑波実験棟にあるBelle測定器を階下に見下ろす。検出器の高さは約8m
実習風景
ワイヤーチェンバー班。自分たちで作成したワイヤーチェンバーの信号を確認中
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