8月3日(月)から6日(木)の4日間、KEKにおいて「高校生のための素粒子サイエンスキャンプBelle Plus 2015」が開催され、全国各地から24名の高校生が集まりました。
Belle Plusは、高校生を対象とした研究体験型のサイエンスキャンプです。 研究者に直接指導を受けながら素粒子物理学に関する実習や解析を行い、最後に研究成果を発表することで、実際に研究者が行っている研究活動の流れを体験することができます。 2006年よりBelle実験グループが中心となって実施しており、9回目となる今回はKEKと奈良教育大学との共催で開催しました。
高校生達は、「B-lab班」、「ワイヤーチェンバー班」、「宇宙線の速度測定班」、「理論班」の4つの班に分かれて実習しました。 B-Lab班はBelle実験で実際に取得したデータを使い新粒子を探索、ワイヤーチェンバー班はワイヤーチェンバーと呼ばれる粒子検出器を自分たちで作製し、放射線源からの放射線や宇宙線を測定することで、放射線の特性や宇宙線について理解しました。 宇宙線の速度測定班は、荷電粒子が通過すると光るシンチレータ検出器2つを縦に並べ、それぞれの間の距離と検出した信号の時間差から宇宙線の速度を測定しました。 「理論班」はB-Lab班と議論を行い、B-Lab班が得た粒子探索の結果から、対応する素粒子反応の崩壊確率を計算する式を図にした「ファインマンダイアグラム」を使ってどのような反応が起きるのかを予測しました。
1日目の夜には懇親会が催され、奈良教育大学の学生らが考案したミニゲームによって、参加者全員の親睦を深めました。 2日目には、素粒子の基礎に関する講義や、SuperKEKBプロジェクトに向けた高度化を行っている研究施設および放射光施設を見学しました。 ビームを制御するための電磁石がずらっと並んだ放射光施設の加速器トンネル内や、高性能化のために改修中のBelle II 測定器を見学しました。 Belle II 測定器の大きさには高校生一同圧倒されていました。 また、2日目夜には国際リニアコライダー計画に関する講義や、国際光年にちなんだ光をテーマとした実験実習が行われ、高校生たちは熱心に取り組んでいました。
最終日の研究発表会では、実習班ごとに発表を行いました。 高校生同士が会場で質問をし合ったほか、研究者からの質問にも答えるなど、活発な議論の行われた発表会となりました。
参加した高校生からは、「素粒子についてもっと知りたい」「より深く探求していくことが大切なのだと知った」「高校では生物を選択しているが、物理と生物の関わりを知り、選択にとらわれず幅広く学びを深めたいと思うようになった」といった感想が寄せられました。 また、高校生同士の議論・交流を通じて「質問や発表を積極的にできるようになった。また、他の人の意見は大切だと思った」「良い仲間に出会えた」といった感想もありました。
今回の経験や、共に議論した仲間達との繋がりが糧となり、高校生の素粒子物理学に対する興味関心がさらに高まることが期待されます。
Belle Plus 2015 の風景
実習風景
ピンポン球を粒子、自分たちを検出器に見立て、加速器実験を体感
実習風景
反応後の粒子の組み合わせから、反応前の粒子の組み合わせを推察
講義風景
樋口先生による素粒子の講義
講義風景
藤本先生による「国際リニアーコライダー計画」の講義
施設見学
放射光施設の加速器の見学
施設見学
Belle II 測定器の見学
「光」の実験実習
凹凸レンズやライトガイド、LEDなど様々な道具を使って「光の性質」を探る実習
研究発表会
小林ホールの大スクリーンを使い4日間の成果を発表
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