2018年度のKEK素粒子現象論研究会(KEK-PH)が、2018年12月4日-7日にKEKつくばキャンパスで開催されました。KEK-PHは2004年から毎年開催されている素粒子理論の国際研究会で、国内外の若手研究者が研究発表する機会を提供する役割も担っています。
今回のKEK-PHは、韓国、台湾、日本の研究所が合同で実施している第3回KIAS-NCTS-KEKジョイントワークショップと共催の形で開催されました。そのため、例年よりも特に台湾や韓国からの参加者が多く、前回よりも15名程多い111名が参加しました。
研究会では素粒子物理学や宇宙論などに関する最新の実験と理論両方の話題が取り上げられました。例えば、SLAC 国立加速器研究所のRaffaele D’Agnolo博士は、新しい粒子が非常にたくさん存在し、通常何か特別なイベントが生じた際だけ検出する装置ではそれらの粒子が検出できていない可能性について講演しました。多くの理論物理学者も想定していなかったこの斬新な発想が会場の興味を惹きつけました。コーネル大学のCsaba Csaki教授は、ヒッグス粒子のモデルを考えるにあたり、その背後には新粒子ではなく、粒子とは違って数えることができない何かが存在する可能性を提案しました。他にも、現在電子ニュートリノ、μニュートリノ、τニュートリノの3つと考えられているニュートリノについて、欧州合同原子核研究機関(CERN)のJoachim Kopp 教授は、4つ目や5つ目のニュートリノが存在する可能性について議論しました。
上記以外にもダークマターやBファクトリー、機械学習などの様々な新しい話題が多く見られました。今回のKEK-PHは講演数も多く、初めて会場を分けてパラレルセッションを行うほど賑わっていました。