2019年9月27日(金)にKEKつくばキャンパスの小林ホールで、西川公一郎名誉教授追悼記念シンポジウムが行われました。
素粒子原子核研究所の元所長である西川公一郎 KEK名誉教授は、高エネルギーの陽子加速器でニュートリノビームを生成して数百キロメートル先の大型検出器に打ち込む「長基線(LBL)ニュートリノ振動実験」の提唱者です。1995年に、茨城県つくば市にあるKEKの12GeV陽子加速器(当時)から250km離れた岐阜県飛騨市にあるスーパーカミオカンデ測定器へニュートリノビームを打ち込む世界初のLBL実験、K2K実験(1999年から2004年まで実施)、を提案しました。西川名誉教授はK2K実験の責任者を務め、J-PARCでのLBL実験かつ大規模国際共同研究であるT2K実験(2009年に開始し現在も実験中)でも責任者としてニュートリノ研究を主導されました。
それらの研究成果は高く評価されており、国内では仁科記念賞(2005年)、国際的にはブレークスルー賞(2016年)やブルーノ・ポンテコルボ賞(2016年)を受賞されています。西川名誉教授はまた、素粒子原子核研究所所長とともにJ-PARCセンター副センター長も務められました。
西川名誉教授は闘病の末、2018年11月にご逝去されました。この度の追悼シンポジウムは、西川名誉教授のお人柄を偲びご業績を振り返るためのものです。
シンポジウムでは、K2K実験やカミオカンデ/スーパーカミオカンデ実験、T2K実験など、西川名誉教授とゆかりの深い研究に関する講演が行われました。将来に向けた実験や理論研究などに関する講演では、この先の素粒子物理学を見据えた議論もなされました。
講演者は西川名誉教授とゆかりの深い研究者の方々で、西川名誉教授との思い出にも触れながらそのご活躍を振り返りました。ゆかりの深い実験での逸話が出る度に、会場は西川名誉教授を懐かしむ笑い声に包まれました。
夜は場所を移して、西川名誉教授を偲ぶ会が行われました。皆と議論をするのが大好きだったという西川名誉教授の想いに応えるかのように、参加者達は研究に関する議論や思い出話が尽きない様子でした。