2021年8月18日から21日にかけて、第15回サマーチャレンジの一部のプログラムがオンラインで開催され、全国から57名が参加しました。サマーチャレンジとは、基礎科学を担う若手を育てることを目的とした科学技術体験型スクールです。大学3年生を主な対象として、KEKが主催、高エネルギー物理学研究者会議と原子核談話会が共催で実施しています。主なプログラムは最前線で活躍する研究者による講義と素粒子・原子核の本格的な演習です。この他に、KEKつくばキャンパスと東海キャンパス(J-PARC)の施設見学ツアーなども実施しています。
昨年度の第14回は新型コロナ感染症のため中止となり、2年振りの開催となりました。今年度も対面実習は来年の春に延期して実施することを検討していますが、講義と施設見学ツアー、キャリアビルディングなどはオンラインで今夏に実施することとなりました。
初日は村山斉 氏(カリフォルニア大学バークレー校/東京大学/カブリ数物連携宇宙研究機構)による特別講義から始まりました。村山氏の講義では、宇宙の進化の歴史や物質に質量を与えるヒッグス粒子探索などに関して、これまでの研究成果の解説から最新の研究までが分かりやすく、そして幅広く紹介されました。特別講義の後は、各分野の第一線で活躍する研究者による放射線、加速器、統計と誤差に関する基礎講義と、素粒子、宇宙、原子核に関する講義が続きました。
施設見学については、最初にKEKとJ-PARCの実験施設やそこで行われている研究に関して簡単な説明があった後、あらかじめ撮影した動画を用いて、または中継で施設を見て回りました。今年度はオンラインの利点を活かし、KEKつくばキャンパスにあるBelle II測定器の衝突点付近やJ-PARCの一次ビームラインなど、対面での一般見学では立ち入ることができない場所も見学しました。
講義や施設見学では、基本事項の解説から始まり、大学院で学ぶようなハイレベルな内容まで出てきましたが、 参加者からは毎時間予定時間を延長するほど多くの質問が挙がり、講師と活発に議論していました。
3日目の夜にはキャリアビルディングがありました。キャリアビルディングは、様々な分野で活躍中の研究者や社会人をパネラーに迎え、パネラーとの対話から進路を考えるきっかけ作りを目的としたプログラムです。参加者からの質問にパネラーが答えていくパネルディスカッション形式で実施しました。パネラーには、研究者に進むまでの道のりや研究テーマを選んだきっかけなどを徹底的に語っていただきました。将来の参考となるパネラーの話に参加者一同は真剣に聞き入っていました。
サマーチャレンジ初となるオンライン開催を終えて、第15回校長の西田昌平 准教授(KEK 素粒子原子核研究所)は「オンラインではお互いの顔が見えないなどのいろいろな制約がありましたが、講義では皆さんが活発に質問してくれるなど、一定の成果はあったのではないかと思います。春に対面で実習ができることを願っています。」とコメントしました。
実習に関する最新情報はサマーチャレンジHPをご確認下さい。