超低エネルギーの中性子を実験容器に溜め込み、中性子の電気双極子モーメント(EDM)の精密測定を試みる超冷中性子(UCN:Ultra-Cold Neutron)実験グループが、2月の活動報告を行いました。
UCNとは100neV程度まで冷却された中性子のことで、極めて低い運動エネルギーしか持たないため、実験容器に閉じ込めておくことが可能です。UCNを用いた電気双極子モーメント(EDM)の精密測定から、時間反転対称性を破る新しい物理を発見できる可能性が高く、注目されています。
報告では、この実験で超低中性子を作成する手法を説明した上で、大阪大学核物理研究センター(RCNP)にあったUCN源を、2015年から強度の高い陽子ビームが利用できるカナダのTRIUMF研究所メソンホールに移設し、2016年までにビームラインを完成させ、実験をスタートさせた経緯を紹介。
さらに、2017年11月に初めてのUCN生成に成功させた様子について、500MeV × 50nA = 25W の陽子ビームを用い、4分周期で5サイクルUCN生成を行った時のヒストグラムなどで説明しています。その後、陽子ビームの強さをRCNPの時の7倍にあたる5kWまで増加させ、その条件でもUCN源が問題なく作動することを確認した、と報告しています。
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