KEK理論センターが、2018年7月の活動報告を行いました。
今回の報告では、文部科学省が進めるスーパーコンピュータのポスト「京」に伴うアプリケーション開発に関連したプロジェクト「ポスト『京』を用いて重点的に取り組むべき社会的・科学的課題(重点課題)」(平成28-31年度)の一部として、KEK理論センターなど8機関が取り組む「重点課題9 : 宇宙の基本法則と進化の解明」と、そのサブ課題A「究極の自然法則と宇宙開闢の解明」について、グループごとの取り組み状況を説明しています。
本サブ課題AはKEKが中心になって進めており、格子量子色力学(格子QCD)の大規模数値シミュレーションを使った素粒子標準理論の精密な検証 (新物理の発見) と、究極理論と期待される超弦理論のシミュレーションで宇宙開闢の謎に迫る、という二本の柱があり、「素粒子現象論」「QCD相転移」「超弦理論および場の理論」の三つのグループが、それぞれ取り組んでいます。
「素粒子現象論」のグループでは、さらに格子間隔を狭くした高精細格子での格子QCDシミュレーションにより、重いbクォークの直接計算を実現させ、SuperKEKBプロジェクトが取り組むB中間子の物理の精密研究に取り組もうと準備を進めています。「QCD相転移」グループは、ビックバンの過程で起きた相転移現象を定量的に解明することを目指し、カイラル対称性をより精密に扱ったシミュレーション計算に取り組んでいます。また、「超弦理論および場の理論」のグループでは、超弦理論の定式化の有力候補とされる行列模型のシミュレーションをさらに進め、重力理論と場の量子論の等価性の検証や、初期宇宙における膨張則やインフレーションの継続時間などを決定しようとしています。
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